【2022年追記】渓流ルアーにスピンキャストリールがおススメな件

渓流ルアー
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2020年からスピンキャストリールを渓流ルアーに取り入れて来て、今年で3シーズン目となった。

何種類か試してみた所、リールによって向き不向きがあるものの結果としては十分に使える、むしろ状況によってはスピニングやベイトを凌駕する場合もある、という結論に至った。

という事で今回は渓流ルアーフィッシングに於けるスピンキャストリールの活用について考えてみようと思う。

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渓流でのスピンキャストのメリットとデメリット

基本的なメリットとしては、

・手返しの良さ

・トラブルの少なさ

・投げやすさから来るキャスティングの正確さ

・構造が単純な事によるメンテナンスのしやすさ

等が挙げられる。

一方でデメリットとしては、

・飛距離が出にくい

・巻き重りしやすい

・巻取り速度が遅い

・巻取り速度の速いリールは大きくて重い

・オシレーション機能が無いモデルは糸噛みしやすい

・糸ヨレしやすい

といった点が挙げられる。

但しこれらはあくまで一般的な話で、リールのモデルによって大分状況が異なって来る。なので1台2台使って「スピンキャストは・・・」と語るのではなく、色んなモデルの中で状況に合った物を選択する事が重要である。

渓流でも使えるスピンキャストの条件

ハンドル1回転あたりの巻取り量

渓流でスピンキャストを使う上で最も気になるのがハンドル1回転あたりの巻取り量。

上流から下流へルアーを引いて来る事が多いので、流速に負けない巻取り量がある事が望ましい。具体的にはスプール径とギア比から算出される理論値ベースで65cm/ハンドル1回転(実巻取り量で60cm/ハンドル1回転)を超えるものなら大体のシチュエーションに対応できると思う。

↓コレはゼブコのオメガプロZ02。見た目、重量、サイズ、巻き心地、ドラグ性能は申し分ないが、ハンドル1回転あたりの巻取量が40cm程度と少ないのがネック。

ドラグ方式と性能

渓流では4lbくらいの細いラインを使用する事が多い。いざ大物が掛かった時の事を考慮すると初動が滑らかな方が良い。となると、ドラグ方式はスピニングリールと同じようにスプールが空転する方式のドラグの方が良い。もちろん滑らかに出ないと意味が無いので、ドラグダイヤルの調整に対してリニアに効きが変わるものが良い。

↓コレはバスプロショップスのエクストリーム スピンキャスト。スタードラグは見た目は良いが、ローターが空転する方式なので相当緩く設定しておかないと急な引きでラインブレイクしそう。巻取り速度は十分なのだが・・・

ローターが空転するタイプだが、ハンドルを逆転させる事で意図的にドラグを緩める事ができるシンクロドラグを搭載しているのがアブの506MK2。使いこなせればコレでもいいのかも。

本体重量

特に上流域では狭い所で片手でキャストする事が多い。ロッドが短く軽い事である程度カバーできるとは言え、リールも軽いに越した事は無い。

個人差はあると思うが、できたら250g前後、重くても300g以下くらいが望ましい。

リールがロッドの下に来るアンダースピンキャストの方が重さが気になりにくいので、アンダースピンの場合は300g前後でも個人的には大丈夫だと思う。

↓コレはゼブコのバレット。ハンドル回転あたりの巻取り量は70cmを軽く超え、ドラグ性能もバッチリだが、本体が重いので渓流には不向き。

ピックアップピン材質について

スピンキャストはその構造上、ピックアップピンと呼ばれるピンでラインを引っかけて巻くようにできている。細いラインを使い、小さなルアーを扱う事から、ピックアップピンによる摩擦が小さい物が良い。

対策としてはピンの材質を滑り性、耐摩耗性の高いセラミック等の材質にするか、回転するローラー式にするかといった選択肢がある。

とりあえず避けたいのはステンレス製のピンの物。ここの摩擦が大きいとラインがすぐチリチリになる。

↓コレはダイワのスピンキャスト80のピン。回転式になっている。

↓コレはルーズのスピードキャストのもの。ステンレス製で巻き抵抗が大きい。

開口部の大きさ

飛距離を伸ばそうと思ったら開口が大きい方が有利で、キャスト後の調節のしやすさについては開口が小さいほうが有利。

慣れれば開口が大きくてもコントロールできるようになるので最終的にはあまり拘らなくてもいいとは思うが、小渓流では開口が小さい方が使いやすいと思う。

↓コレはアンダースピンキャストの最高峰、トライアングルのTU-01。開口が大きいのでライン放出は最高にスムーズで飛距離もバッチリ。その代わりラインをコントロールするのに少しコツが要る。オプションで小口径カップも売ってるのだが、価格が高いのがね・・・

オシレート機能の有無

スプールを前後に動かすオシレート機能はあるに越した事は無い。が、遠投しないのであれば下巻きを増やし、メインラインの量を減らせば対応できるので、渓流に関してはマストではないと思う。

↓アブマチック170にはオシレート機能付き。ただコレも重いんだよね。

渓流でスピンキャストが有利なシチュエーション

最大飛距離で考えるとスピニングにはやや劣るので、遠投が有利な川幅の広い本流ではあえて使うメリットは無いと思う。手返しが良いと言っても遠投したらリトリーブ時間の方が長いのでメリットが薄くなる。

一方でスピンキャストが有利なのが川幅が狭く階段のような段差が続く上流エリア。1キャストで数メートルしか引けないような場所では手返しの良さが生き、逆に遠投する必要もない。

更に頭上に木が覆いかぶさるようなポイントでは満足な体勢で投げる事ができなかったりもするが、スピンキャストならピッチングやフリップキャストがやりやすい上に失敗してもトラブルレス。手返しの点ではベイトフィネスでもいい勝負だと思うが、トラブルの有無ではスピンキャストに分があると思う。

ちなみに初めてスピンキャストを手にするとスピニングのようなフェザリング、ベイトのようなサミングができないのでラインコントロールはどうしたらいいのか、という疑問が出て来ると思う。

これについては、単純にロッドを持ってない方の手で開口部を押さえて開口を絞ってやるのが良い。「数メートルしか投げない僅かな時間でそんな複雑な事できるかよ・・・」と思ったりもするが、慣れればキャストした瞬間に手を添えてコントロールできるようになる。

渓流で使えるスピンキャスト

これらの条件から、渓流で使えるスピンキャストをピックアップするとこんな感じになる。

ダイワ アンダースピンUS120XD

トータルバランスで最もおススメなのがこのリール。日本で発売されているアンダースピン80をサイズアップしたモデルで、アメリカのダイワのHPには載っている。

80サイズとの決定的な違いがハンドル1回転あたりの巻取り量。渓流で巻取りが追い付かないとポンコツ感が増すが、巻取り速度が違うだけでかなり印象が変わって来ると思う。一方で重量は300gと重めだが、リールが下に来るアンダースピンの場合はそこまで重さが気にならないので、大きくなったことによるデメリットはあまり感じない。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
301g 65.7cm スプール空転 ローラー 約4000円

このリールとカーディナル33を同じ日に持って行って比較してみたが、源流域ではアンダースピンUS120XDの方が使いやすかった。

価格も安いのでもし渓流でスピンキャストを使ってみたい、という人がいたらおススメしたいモデルである。スピニングロッドで使えるのでロッドの選択肢も豊富だしね。

ベアリングが少なく、インスタントアンチリバースも入ってないので巻き心地が若干チープなのが欠点。ハンドルのショボさの影響が結構大きい気もするので、少なくともハンドルは変えた方が良いかも。更にベアリングを追加しても1万円はしないと思う。

詳細はコチラ↓

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トライアングル TU-01

お金に糸目を付けないのであればコレがベストかも、という一台。巻取り速度がスピンキャスト界最速なので、手返しという点では右に出るリールは無いと思う。

必要最低限な所にはベアリングが入っており、インスタントアンチリバース搭載で巻き心地も滑らか。見た目も最高にカッコいい。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
279.6g 87.4cm スプール空転 セラミック 約46000円

ネックはやはり価格よね。とりあえず・・・で買うには勇気の要る価格設定。でも買って良かったと思っている。

詳細はコチラ↓

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ゼブコ 33プラチナ(2020モデル)

最近出たばかりのモデルだが、ベイトロッドと組み合わせて使うスピンキャストの中では最も渓流向きだと思うモデル。

堅牢なメタルボディに滑らかなドラグ、ハンドル1回転あたり70cmに迫る巻取り量が魅力。ギアボックスへのアクセスが簡単なのでメンテナンス性が高いのも好印象。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
297.9g 75.2cm スプール空転 セラミック 約6000円

重量がちょっと重めなのが気にはなるものの、そこに目を瞑れば価格含め納得のスペック。インスタントアンチリバース搭載、4ベアリング仕様。

ピックアップピンの土台の樹脂を受ける軸の部分にベアリングが付いていて巻き心地が滑らかなのが良い。

買った状態のままで比較するなら最もおススメできる1台だと思う。

詳細はコチラ↓

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ゼブコ 33プラチナ(2014モデル)

2020モデルが出る前はコレが最高かも・・・と思っていた。ハンドル1回転あたりの巻取り量がやや2020モデル対比で劣るが、単独で見たらかなりバランスが良い。フルメタルボディ、4/1ベアリングで巻き心地も滑らか。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
282.6g 63.7cm スプール空転 セラミック 約3000円

実売価格は6000円くらいで2020モデルと大体同じなのだがたまたま安く買えた事もあって個人的にはコスパがかなり良い。スプールがワンタッチで外せるといった点では新モデルより便利だったりするので、さほど流れが早くない場所で使うなら旧モデルでも良いと思う。

詳細はコチラ↓

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ワタチャンプ Bees

価格はここまで紹介したものの中で最安。しかしスペックではかなりいい勝負といった所。巻取り速度、巻き心地に関しては及第点。ベアリング数は5/1と、何気にここまで紹介したリールの中では最も多かったりする。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
261.1g 67.5cm スプール空転 ローラー 約2500円

樹脂ボディだったり、ピックアップピンのローラーの回転があまり良くなかったり、ドラグの調整が一気に強くなったり・・・と気になるところはあるものの、圧倒的にコスパが良いので安いと割り切って使う分には良いリールだと思う。

詳細はコチラ↓

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アブ 506MK2

ドラグがローターが回るタイプだが、シンクロドラグ搭載なので使いこなせればイケそうな1台。

他のスピンキャストと違って人差し指でラインを掴んで離す仕組みで投げるようにできている。なのでキャストする感覚はスピニングとほぼ同じだが手返しはボタン一つで高速、といったスピニングとスピンキャストのいいとこ取りのような構造になっている。開口部が大きいので飛距離が出しやすく、スピニングのように人差し指でフェザリングする事もできるので、スピニングから移行するには一番馴染みやすいのかもしれない。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
298.2g 65cm ローター空転(シンクロタイプ) セラミック 約18000円

結構値段が高いのがネックと言えばネックかな。国内のアマゾンでも一応買えるのと、UKのアマゾンで買う、という手があるかと思う。

快適に使うにはダブルハンドル化するのがおススメ。

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Profishiency Sniper

2022年に登場して衝撃を受けたのがProfishiencyのスナイパー。

オメガプロの小さい方と同じくらいの背の高さでありながら6.5:1のハイギアでハンドル1回転あたりの巻き取り速度は理論値だと85cm/回転となる革命的なリールである。

重量も実測で287.4gと片手で使える範囲内で、見た目もなかなかカッコいい。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
287.4g 85cm ローター空転 回転式(ただしほぼ回らない) 約18000円

右ハンドルしかないのとローター回転式ドラグが非力なのが弱点だが、渓流でもかなり使える1台だと思う。

詳細はコチラ↓

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ゼブコ バレットMG

巻き取り速度、巻き取りの滑らかさでは群を抜いていたが重すぎて渓流には向いていなかったゼブコのバレットがマグネシウムボディ採用で軽量化されたのがバレットMG。

重量(実測) 巻取量(理論値) ドラグ方式 ピックアップピン種別 価格(管理人購入額)
315.4g 74.5cm スプール空転 回転式(ベアリング入り) 約18000円

300gをちょっと超えるので重めではあるものの、やはりベアリング入りピックアップピンによる巻重りの少なさは唯一無二。アップでもダウンでも使える速度とパワーを兼ね備えた最強のスピンキャストリールである。

詳細はコチラ↓

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Youtube動画リスト

自分で作成したスピンキャストの動画を再生リストにまとめてみました。

【スピンキャスト】Abu 506MK2で渓流ルアー釣行

まとめ

真面目に使っても十二分に戦力になるスピンキャスト。スピニング、ベイトと並べて検討する価値はあるのではないだろうか。

表にしてみるとこんな感じかと思う。

スピンキャスト スピニング ベイトフィネス
軽量ルアー対応力
手返しの良さ
飛距離
トラブルの少なさ
ドラグのスムーズさ
巻取り力
PEライン使用
巻取り速度 △~〇

と、こうやって宣伝する事でスピンキャスト人口が増えて、大手メーカーが本気で開発してくれたらもっと良くなると思うんだけどなぁ・・・

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