【インプレ】Abu Garcia アブマチックSX【構造が斬新】

スピンキャストリール
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スピンキャストリールの欠点として、フロントカップとローターでラインを挟んで保持する事によってラインに傷が付く事、保持が弱いとキャスト時に滑って不意にラインが出てしまう事が挙げられる。

クラッチボタン一つで投げられるメリットとと引き換えにこんな不具合が生ずるわけだが、この欠点を独創的な構造で解決したリールがある。

それが今回紹介するアブマチックSX。

見た感じや操作方法は従来のスピンキャストと大差ないように見えるが内部構造が異なり、フロントカップとローターでラインを挟む事自体不要な構造になっている。

そのおかげでメリットと同時に新たな欠点もあったりするのだが・・・まずはそのチャレンジ精神を評価しつつ、斬新な機構の仕組みなんかをインプレしていこうと思う。

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メーカーHP情報

ABU GARCIA® ABUMATIC® SX SPINCAST

MODEL#ABUMSX10

  • S-Matic™ Casting Design
  • QuadCam Pickup System
  • 3 Bearing System
  • Ultra smooth drag system
  • Pre- spooled with Berkley Trilene XL

Modern design and advancements in spincast fishing reel technology make the Abumatic SX spincast reel stand out from the crowd. Construction starts with a graphite frame and stainless steel front cone. A snubberless casting system challenges traditional spincast design by utilizing the pickup pin to initiate casting instead of pinching the line against the cone. This equates to an increase in casting efficiency and a reduction in line wear. The QuadCam engagement mechanism initiates faster line engagement on the retrieve. Pre-spooled with Berkley® Trilene® XL® monofilament fishing line.

REEL HANDLE POSITION GEAR RATIO RETRIEVE RATE BEARING COUNT WEIGHT
Right/Left 3.6:1 23″ | 58cm 3 8.40

MONO CAPACITY YD/LB:110/8
DRAG MATERIAL:Spool Applied
MAX DRAG LB:8lb | 3.6kg
REEL SPOOL MATERIAL:Aluminum
DRAG TYPE:Dial Drag
REEL SIZE:10
ANTI-REVERSE FEATURE:Instant Anti-Reverse

出典:abugarcia.com

見た目はこれぞスピンキャストという見た目だが、S-Maticキャスティングデザイン、というのがキモ。ギア比が低い割にリトリーブ速度はそこそこ速く、重量も250gを切っていてなかなか使い勝手が良さそうなスペックとなっている。

インスタントアンチリバースも入っているので、後はボディ材質が金属だったら・・・いうところ。

価格はメーカーHP上で$29.99だったので、スピンキャストとしては平均的な価格設定となっている。

1点気になったのが「2020/5/1から発売」と書かれていた事。管理人が購入したのは2020年4月なので、もしかしたらHP上の情報はリニューアル後のものかもしれない。

ちなみにピュアフィッシングジャパンのHPには載っていないが、ナチュラムで取り扱いがあって結構手軽に入手する事ができる。

パッケージ

パッケージはこんな感じ↓

側面には主要スペックが記載されている。

機能的なポイントは反対側に。

開封するとこんな感じ↓

本体と簡単な説明書と展開図が入っていた。

ピュアフィッシングジャパンで取り扱っている模様。

展開図はこんな感じ↓

外観など

左から↓

左斜め前から↓

前から↓

右斜め前から↓

右から↓

右斜め後ろから↓

後ろから↓

左斜め後ろから↓

ハンドルは最初は右ハンドルで入っていたが左ハンドルに切り替え済み。

上から↓

下から↓

艶消しブラックのフロントカップと赤のボディがなかなかカッコいい。

重量

箱に記載されている重量は238g。実測は・・・

ライン込みで235.6gとカタログ値よりわずかに軽い。これくらいなら十分片手で投げられる。

サイズ感

スピンキャスト80と比較するとこんな感じ↓

重量が近いだけあってボリューム感はほぼ同じ。フロントカップ径はアブマチックSXの方が大きいが、全体的な高さは同じくらい。

一方クラッチボタンの位置はアブマチックの方が低く、形も押しやすいように工夫されている。

ちなみにベイトリールと並べてみるとこんな感じ↓

高さは完全にアブマチックの方が高いが、そんなにバカでっかく感じる訳ではない。

ハンドルについて

ハンドルはシングルハンドル。

長さは約50mm。

ハンドルノブは薄くラバーコーティングされたプラスチック製。

ハンドルは左右入れ替え可能。ハンドル側が六角シャフトで、一般的なスピニングなんかと同じ感じ。ハンドルの反対側のネジが一緒に回るのがちょっと残念。

早速左ハンドルに変えてみたのだが、右ハンドルの時は回転がスムーズだったのに左ハンドルに変えたらボディにハンドルが干渉して回転が悪くなった。

なので1mm厚のゴムシートでワッシャーを作成して挟んでやったら直った。

もしかしたら他のスピニングのハンドルが付くかも・・・と思って近くにあったエクセラー2004Hのハンドルと交換してみる事に。

シャフトの長さが若干違うが、普通に着くことが分かった。

ちょっとオフセットしすぎな気がするが・・・時々変えてみるのも面白いかもしれない。

分解してみた

フロントカップを外す

フロントカップを外すとこんな感じ↓

フロントカップはステンレス製で、本体に対して少し反時計回りに回して手前に引くと取れる仕組み。

↓のわずかな出っ張りが本体の溝にはまるようになっている。

フロントカップを裏から見るとこんな感じ↓

ローターについて

ローターを前から見るとこんな感じ↓

一般的なスピンキャストと大きく違うのがラインを押さえるゴムや樹脂のような部品が無い事。

材質は磁石の付き具合からすると多分鉄にメッキかな?

ピックアップピンについて

ピックアップピンはスピンキャスト80のようなローラー式。外側の筒が回転するようになっている。

但し、スピンキャスト80のように窒化チタン処理はしていない模様。

ピックアップピン本数は1本。

裏から見ると少し変わった構造をしている。これがS-マチックキャスティングシステムなのだろう。

スプールについて

スプール材質は樹脂製。

スプール径は50mm。

ギア比が3.6:1だが、スプール径から計算するとハンドル1回転あたりの巻取り量は最大56.52cmとほぼカタログ通りとなる。

但し、スピンキャストの場合はやや少な目にラインを巻くので、実際には53cm~54cmくらいかな。

スプール幅は約7.5cm。スプール径に対してやや狭め。

ちなみにスプールを前後に動かすオシュレート機能は無し。

ローターを付ける時は・・

再度ローターを組み付ける時はピックアップピンの隣のピンのようなものを手前に出した状態で組み付けるようになっているので注意。

ギアボックスについて

ボディの後部は側面のネジ3本を外すと簡単に分解する事ができる。

構造はシンプルで、メインギアとピニオンギアとクラッチボタンくらいしかない。

メインギアは結構大きいが、その分ピニオンギアも大きいのでギア比は低め。ピニオンギアをもう少し小さくすればギア比上げられそうなのになあ・・・

ベアリングについて

3ボールベアリング仕様と言うが、ローラーベアリングを含んで3つのようで、メインギアを受けているのは片側がベアリングでもう一方はブッシュという仕様。

樹脂ブッシュのサイズは外径13mm×内径7mm×幅3.5mm

丁度いいサイズのベアリングがあったら交換するのだが・・・あるのかな?

S-マチックキャスティングシステムについて

この仕組みがイマイチメーカーのHPなどから伝わって来ないので一体どうなっているのかあまり公になっていない気がするが、簡単に説明すると、

「クラッチボタンを押しても見かけ上は何も起きず、ボタンを離すとピックアップピンが退避する」

といった仕組みである。

一般的なスピンキャストリールの場合は、

「クラッチボタンを押すとピックアップピンが退避する代わりにローターが前進してラインを保持し、クラッチを離すとローターが後退する事でラインが解放される」

といった仕組みなので、ラインを保持して離す仕組みが異なる、という事になる。

動画で見るとこんな感じ↓(動画:約4MB)

クラッチボタンを押してもローターが前進しないことが伝わるだろうか。

現象だけ見るとこっちの方がシンプルじゃん!と思えるが、内部構造はやや複雑。

↓の写真のように内部の筒が前後することでこの動作を実現しているのだが、イマイチ仕組みが良くわからない。

ドラグについて

ドラグはダイヤルが上面にあって、スプールが回転するタイプのドラグ。

ドラグダイヤルはローレット加工が施されていて操作しやすいが、調節の際にクリック音は鳴らない。

ラインの出方は結構スムーズ。

ロッドに付けてみた

鱒レンジャー改CTに付けてみるとこんな感じ↓

クラッチボタンはやや低め&先端が少し曲がっているので押しやすい。

パーミングする時はフロントカップを持つと力が入るのだが、この場合は一つ問題がある。

供回りハンドルのせいで、ハンドル反対側のキャップが回転するわけだが、それが手に当たって痛いのだ。

↓のように軽く隙間を開けて持てばまあ何とかなるが、手の小さい人には厳しいかも。

その場合はこんな感じで持つといいかもしれない。

投げてみた感じ

散歩のついでに少しだけ投げて来た。

S-マチックの投げ心地は・・・というと、これがめちゃめちゃ投げにくい。

リリースするタイミングが全然合わず、オーバーヘッドの場合は水面にルアーを叩きつけ、サイドキャストの場合はルアーはあさっての方向へ。

はて、これはどういうことか・・・と考えてみたが、どうもクラッチを離してからピンが退避するまでに僅かにタイムラグがあるようである。

なので普段と同じタイミングで投げるとやや遅れてリリースされるような挙動になる。

ならば早めに離せば・・・と思って試してみたが、遅れ具合が一定ではないようで、ややバラつきが見られる結果となった。

アブマチックSXに適した投げ方とは?

こんなに投げるのが難しいのでは全く初心者向きじゃないじゃないか、と思ったのだが、ピッチングだと思いの外うまく投げられる事に気がついた。

もしかしたら、と思って、初心者に教える時のようにわざと大きくバックスイングをして投げてみたら普通に投げられる事がわかった。

これはどういう事かと言うと、ある程度ルアーの飛行する軌道が決まってからラインをリリースするのが良い、という事。で、その為にはスイングを大きくした方がいい、という事だと思う。

普段おかっぱりでは後ろが広々してるとは限らないのであまりバックスイングせず、体の前でロールキャスト気味なコンパクトなキャストをしがちだが、この場合はラインがリリースされるタイミングの影響が大きくなり、うまく投げられないという事だったようである。

なので、少し垂らしを長めにして、ゆっくり大きく振ってやることで対応できることがわかった。

じゃあコンパクトに振りたい時はどうすればいいのか、というと、そこはトップスナップキャストの出番である。

ラインを指で摘まんで離す事で、タイミングをバッチリ合わせる事ができる。

飛距離について

今回は鱒レンジャーを使ったのでロッドが柔らかく力強く振ると逆に飛距離が伸びない。

一方でラインは10lbと太く、放出抵抗が大きいので思ったより飛距離は伸びなかった。

ただ、ライン放出のスムーズさはスピンキャストの中でも良い方なので、バスロッドと合わせたらかなり飛びそうな雰囲気である。

巻き心地

巻き心地はお世辞にも良いとは言えない。ピックアップピンを内側から支える軸の部分が樹脂なので、そこが金属の機種と比較すると滑らかさでは劣る。

とは言え、グリスをちゃんと塗っておけばまあなんとか使えるかな、といった感じ。

S-マチックのメリットとデメリット

軽く投げてみた範囲でのS-マチックシステムのメリットとデメリットをまとめてみる。

メリット

・ラインを挟んで保持しないのでラインに傷が付きにくい

・重めのルアーを投げてもラインが滑って出る、というトラブルになりにくい

・握力をあまり使わなくてもラインが保持できるので疲れにくい

デメリット

・コンパクトなスイングで投げる場合はラインをリリースするタイミングが取りにくい

・一度クラッチを押して離した後に再度ボタンを押してもラインは止まらないので、飛びすぎてヤバい!と思った場合は手でラインを止める必要がある。

・↑と同じ理由で垂らしの長さを調節するのがやや面倒。(スピニングと似たような手間)

 

とりあえず今思いつくのはこんな感じ。また気づいたら追加していこうと思う。

供回りキャップが手に当たるのを緩和する

パーミングした際にハンドルのキャップが手に当たるのをどうにかしてみる。

とりあえずM3のネジとワッシャー、ゴムブッシュを用意。

純正のキャップから黒いゴムのワッシャーを拝借し、ネジでハンドルを固定すると・・・

↓のような感じになる。これだけでもほぼ手に当たらなくなるが、やや隙間が空いてしまう。

しかも隙間の先にはオープンベアリングが・・・

なので、ここにゴムブッシュを付けるとこうなる↓

見た目がイマイチ&ちょっと緩かったので無くしそうではあるが、持った感じはめっちゃ良かった。

この部分の直径は約13.7mm。これに対してゴムブッシュの内径が13mmだったので、内径12mmくらいのゴムキャップがあればいいのかな。

まとめ

少しクセのある仕組みなので慣れるのにはコツが要るが、わかってしまえば結構使いやすいリールなのではないかと思う。

ラインを保持するのに握力があまり要らないのと、本体重量が比較的軽い事から初心者にもオススメなのではないだろうか。(むしろ初心者の方が最初は使いやすいかも。)

家で何十回と投げてみたがラインへの傷もあまり付かなかったので、S-マチックはなかなか面白いシステムだと思う。

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