スピンキャストの最高峰と言えばゼブコのバレットかオメガプロか、はたまたトイマシーンZZか・・・というところだが、アンダースピンキャストの最高峰と言えば間違いなくコレだと思われるのがトライアングルのTU-01。
クラシックな見た目でカッコいいだけでなく、スピンキャストの弱点であるハンドル1回転あたりの巻取り量は80cmオーバーと、昨今のスピニングやベイトリールと比較しても戦える水準。
アルミダイキャストボディと精密な機械加工によって、スムーズな回転と確実なラインのピックアップを実現。
更にPEの使用をも想定する事でパワーフィネスでの使用も可能となっており、実際にトーナメントで使用するバスプロがいるくらいの実力派リールに仕上がっている。
今回ようやく手に入れる事ができたので、実際に使った感じなんかをインプレしていこうと思う。
パッケージ
パッケージはこんな感じ↓
結構大き目の箱で、なかなか高級感がある。
開けるとこんな感じ↓
内容物は本体と取説とステッカー。
装飾用のステッカーはお好みで貼っても貼らなくても、という事らしい。
展開図はこんな感じ↓
外観など
左から↓
左斜め前から↓
前から↓
右斜め前から↓
右から↓
右斜め後ろから↓
後ろから↓
左斜め後ろから↓
上から↓
下から↓
とりあえず艶消しブラックの武骨な見た目が最高にカッコいい。ボディは80年代のミッチェルのリールを彷彿とさせる丸みを帯びたシンプルな形状。アルミ製のハンドルもミッチェルっぽい。
というか、80年代頃に五十鈴工業で作っていたと言われるガルシア3800と似ている気がする。
形状だけでなく構造的にも必要最小限といった感じで、操作する部分はラインをリリースする為のレバーとドラグダイヤルのみ。逆転ON/OFFレバーも無し。
重量について
重量は実測で279.6g。
最近のスピニングリールと比較するとやや重めではあるが、これくらいならまあ許容範囲かな。
サイズ感
サイズはスピニングリールでいうところの2500番くらいかと思われる。
ダイワの15レブロス2506と並べてみるとこんな感じ↓
重量もほぼ同じ。
同じアンダースピンと比較してみる。まずはダイワのアンダースピンUS120XDと。
この2台はかなり近いボリューム感。フロントカップ径などもほぼ同じ。
アブの506MK2と比較するとこんな感じ↓
506MK2の方がフロントカップ径が少し大きいので、その分若干大きく見える。
ハンドルについて
ハンドルはアルミ製のストレートハンドル。
根本のネジを緩める事で、ノブを内向きにすることができる。
ハンドル長は約50mm。ハイギアなので少し長めにしてトルクを稼いでいるものと思われる。
ハンドルノブはネジ止めで交換可能なタイプ。ここにベアリングは無し。
クラッチレバーについて
アルミむき出しのクラッチレバーは頑丈で操作もしやすい。
レバーを引くとピックアップピンが退避するのと共にローターが前進してラインを保持し、レバーを離すとラインがフリーになる仕組み。
ローターについて
フロントカップを外すとこんな感じ↓金色の部品がローター。
チタンプレーティング加工のお陰で金色になっている。
真ん中のネジを外すとローターが抜けるようになる。
ラインを押さえるゴムはダイワのスピンキャスト80などと比較するとやや柔らかめ。お陰でラインの保持力は高い。
外して裏から見るとこんな感じ↓
ピックアップピンはセラミック製が2本。
スプールについて
純正スプールは赤アルマイトのアルミスプール。
スプール径は約48mm。
スプール径とギア比から計算すると、フルキャパシティの場合でハンドル1回転あたり87.4cm巻ける計算になる。少し少な目に巻いたとして、45mmで計算しても81.95cmとなるので、80cm以上は普通に巻けそうな感じである。
ドラグについて
ドラグはフロントカップのすぐ下のギザギザしたリングを回すと調節できる。
スピニングリールと同じようにスプールが空転するタイプのドラグ。
分解してみるとこんな感じ↓
スプールの前後に白いドラグワッシャーが入っている。
スプールの裏の窪みに金属製のプレートが当たる事でドラグ音が鳴る仕組み。お陰で甲高い音が鳴る。
ドラグは滑らかで、調整に対してもリニアに反応してくれる。
ラインを巻いてみた
とりあえずナイロンの5lbラインを巻いてみた。
結び目を納める窪みがあるのが良い。
75m巻いたらこんな感じになった↓
スプールを上下させるオシュレート機能が無いので、ラインは中央に寄る。
オシュレート機構が無いのはちょっと痛いな・・・この際もう1万くらい値段上がってもいいから付けてくれればいいのに。
バス釣りで使ってみた
とりあえずナイロン5lb×ULのロッドとの組み合わせでスピニング的な使い方で使ってみた。
投げてみた感じ
飛距離についてはスピニングと大差ない感じ。フロントカップの開口が大きいので、ライン放出はかなりスムーズ。
手返しがめちゃくちゃ良いので、ネコリグでカバー周りをテンポ良く狙う事が可能。
一方でフェザリングがしにくいので、あらかじめ精度良く狙う感じで投げた方が良い。
巻いてみた感じ
ローターにラインが擦れるスピンキャストの特性&ハイギアの効果で巻き重りは激しい。
なので巻き抵抗の大きいルアーには向かない。↑のサブサーフェスミノーくらいならなんとか。
巻き抵抗が殆ど無いルアーを使うのが良いかな。
ちなみに巻き重りについてはローターをしっかり濡らす事でだいぶ緩和される。時々水を手ですくってかけてやるといいのだが、水が綺麗な所じゃないと嫌かも。
魚とのやりとり
まだそこまで大きい魚は釣れてないが、ドラグ調整をしっかりしておけば安心してやりとりできる。
さっきも少し書いたが、ローターが乾いていると異様に巻きが重い時があるので、あらかじめ十分に濡らしておく方が良い。
↓の魚は全然大きくないが、ローターの滑りが悪くてなかなか巻けなかった。
あと、魚を釣ったり根掛かりさせたりしてラインに負荷をかけた後はラインが下のラインに食い込んで次に投げた時に引っかかったりするので注意が必要。オシュレート機能が無い事が悔やまれる所である。
Vスプールについて
オシュレート機構が無いので基本的にはラインの巻取り形状は中央が盛り上がった形になる。
それを解消するためのアイテムが別売りのVスプールである。
ラインキャパシティは4-100mと変わらないが、中央がくぼんでいる。
窪んだ部分の直径は38mm。それでもハンドル1回転当たりの巻取り量は69cmとなるので、少な目に巻いても良いのかもしれない。
PEラインを巻いてみた
VスプールにPEラインの1.5号を50m程巻いてみたら・・・こんな感じ↓
まあ確かに中央の盛り上がりは緩和された気がするが・・・お世辞にも綺麗とは言えない巻き上がり。
ちょっと家の中で投げてみたが、巻き重りがひどすぎて正直使う気がしないレベル。
表面がコーティングされた滑りの良いラインを少な目に、且つ手巻きしないとダメかもしれない。
で、後日。
今度は違う種類のPEラインを巻いてみる事に。(実は最初に巻いたラインは中古で買ったリールに巻いてあったモノなので何のラインか不明だったんだよね・・・)
今回はダイワのSW Sensor 1.2号で挑戦。
更に、電動ドライバーを使って綺麗に巻いてみた。
仕上がりはこんな感じ↓
とりあえず家の中で投げてみたら・・・かなり快適に巻ける事に気づいた。どうやらラインの滑り性に大きく使い心地が左右されるようである。
しばらく投げた後のスプールはこんな感じ↓投げた分は中央に寄る。
巻き重り対策について
ちょっと大きめのブルーギルが釣れたのだが、こんなんでも結構巻きが重かったりするので対策を考えてみる事に。
霧吹きで水をかける
霧吹きを持参し、常にローターが潤うように数十投に1回くらいの割合で噴霧するといい感じになる。
まあ少し面倒ではあるのだが、乾いているとホントに巻きが重くなる時があるので持っておくと便利である。
フッ素コーティングされたラインを使ってみる
後日、滑りの良いフッ素コーティングされたラインを使うと良いかも、と思って試してみた。
タイアップのボルトがボビン巻きナイロンの中では一番滑らかだと個人的には思っている。
4lbを100m巻くとこんな感じ↓
巻く時もスムーズに巻けたので巻き上がりが綺麗な気がする。
で、投げてみたらビックリするくらいスムーズになった。これならもう少し快適に使えるかもしれない。
その後フィールドで使ってみた所、かなり巻取りが軽くなった。豆バスはゴリゴリ寄せられるように。
ただやっぱりシャッドとかを使うのはしんどいかな・・・
渓流で使ってみた
手返しの良さと巻取り速度が十分に生きるであろう渓流で使ってみた。ラインはフッ素コーティングされたナイロンライン、Voltの4lb。
場所は北秋川。雨が続いていたのでやや増水しており、流れも速くなっていた。
しかしハンドル1回転あたり80cmオーバーの巻取り速度のお陰で、流れの速度に負けずにルアーを引いて来る事ができた。
2.1gのスピナーをメインで使ったが、飛距離は十分。巻取りも滑らかでスピナーが回っているかどうかがちゃんとわかる。
ピッチングの手返しが良いのでピッチングを多用したのだが、↓のような木の下に投げ込んだりするのがかなりやりやすかった。
結果、無事ヤマメをキャッチする事に成功。
見た目的にも渓流の雰囲気に合うし、機能的にも渓流と相性が良い感じ。
管理釣り場で使ってみた
止水タイプの管理釣り場で使ってみた。
開口が大きく、ラインの放出抵抗が少ないので軽めのスプーンも投げる事ができる。スピニングと比較すると多少は落ちるが、実用上問題ないレベル。
巻取りが速いので手返しはやはり抜群。放流直後なんかに魚の溜まっている所を通して、追ってきたが喰わなかった魚をもう1回狙う・・・とかいう時に便利。
お陰で無事にニジマスをキャッチ。
巻取り速度は魚が手前に走ってきたりした時にも役に立つ。
ただやはり巻き重りが激しいリールなので、適度にローターを潤わせておかないと全然寄って来ない事があるので注意が必要。
また、負荷をかけた時にラインがスプールで食い込んで、次のキャストの時にあまり飛ばなかったり、なんていう欠点も。
その辺を理解して使う分には面白いと思う。個人的には甲高いドラグ音が好き。
実釣動画
渓流で使った時の様子を動画にしてみた。(動画:7分47秒)
まとめ
とりあえず手返しは圧倒的。レバー操作のみでキャストできるアンダースピンの特性とハイギアの相性は抜群。ライン放出もスムーズなので、軽量ルアーをマシンガンキャストできる。
欠点としては巻き重りが激しい事とオシュレート機能が無い事。
巻き重りについてはピックアップピンがローラータイプだったらもう少しマシだったのかな・・・滑り性の良いラインを使う事で緩和できる事は分かったが、それでもスピニング並みとはいかない感じ。
けどまあライトリグ専用機とすればかなり面白いリール。見た目もカッコよくて使っててテンションの上がるリールだと思うので、色々試してみたいと思う。
渓流で使った感じも良い。というか個人的にはバス釣りよりも渓流で使う方が相性が良い気がした。
結論として、手返しの良さは最強クラスだが、注意すべきはラインとの相性の影響がかなり大きいという事。
PEにしてもナイロンにしても、使うラインによって大きく巻き心地が変わって来るので、使うラインを選ぶ&マメに交換するのが快適に使うポイントだと思う。
朗報:新たにTU-01vが登場!
従来別売だった浅溝Vスプールが標準装備になったTU-01vが発売される模様!
更に新カラーとなるTU-01vtcも。
TU-01vtcの塗装は結構耐久性が高いみたい。見た目もかなりイケてるので欲しいのだが、2台目を買うのはなかなかお財布的にキビシイ・・