最近お気に入りのスピンキャストリールだが、ハンドル1回転あたりの巻取り量が少ないモデルが多いのが気になるところ。
いくつか巻取り量が多いモデルもあるが、今度は重量が重すぎて使う気にならない・・・といった感じ。
そんな中で、コレは使えるかも!?というモデルを発見した。
それが今回紹介するルーズ(Lew’s)のスピードキャスト スピンキャストリール。
大きい方のハンドル1回転あたりの巻取り量は約60cmとスピンキャストにしては多めの設定な一方で、本体重量は200gを切るというスペック。
しかも$19.99の定価のモデルにしては珍しくインスタントアンチリバースを搭載している。
とりあえず買ってみた&使ってみたのでインプレを。
メーカーHP情報
Lew’s® Speed Cast and Speed Cast Mini Spincast
Description & Features
2-bearing system
Aluminum cone
Dual pick-up pins
External stainless steel screws
Graphite handle with Combat Grip® paddle knob
Speed Lube® for exceptional smoothness and uninterrupted performance in all weather conditions, from extreme heat to freezing cold
Adjustable for right or left hand retrieve
Pre-spooled with premium monofilamentModels
MODEL WT. OZ. LINE CAP. GEAR RATIO RPT MSRP SSC1C 5.6 125/4 4.4:1 18″ $19.99 SSC2C 6.4 100/6 4.4:1 24″ $19.99 RPT = Recovery per turn | Line capacity = yards/lbs. | WT. OZ. = Weight in Ounces | *Left-hand retrieve
出典:Lew’s
簡単に特徴を意訳すると、
・ベアリングは2個(うち1個はローラーベアリング)
・アルミ製コーン
・デュアルピックアップピン
・外部ステンレススクリュー?→ネジがステンレスって事?
・グラファイト製ハンドルにコンバットグリップノブ
・全天候型で低温にも強くスムーズなグリス
・左右入れ替え可能なハンドル
・あらかじめセットされたナイロンライン
というところかな。
今回はSSC2を買ったわけだが、やはり注目すべきは6.4ozの自重と24インチの巻取り量。ハンドル1回転で約61cm巻き取れて、重量は約179.2gという事になる。
このスペックは今まで無かったんではなかろうか。
展開図もメーカーHPで公開されている。→リンク
(出典:Lew’s)
パッケージ
今回はタックルウェアハウスから買ってみた。
到着まで約2週間かかったが無事に届いて良かった。
パッケージはこんな感じ↓
ブリスターパックに入っている。
裏から見るとこんな感じ↓
中身は本体と説明書の2点のみ。
外観など
ハンドルは最初に左ハンドルに切り替え済み。
右から↓
前から↓
左から↓
後ろから↓
上から↓
下から↓
生産国は中国。
カラーはマットブラックに白で、かなり武骨なイメージ。ちょっとミリタリーっぽくてカッコいい。
フロントカップ以外の部品はすべて樹脂なので少し安っぽくもあるが、実際に安いので仕方がない。
↓ボディの割れ目とかドラグノブがちょっと雑な感じ。
本体重量
重量を量ってみると・・・
ライン込みの重量。190.8gとカタログ値よりはちょっと重いかな?という所ではあるものの、200gは余裕で切っているのでかなり軽い部類だと思う。
サイズ感
ダイワのスピンキャスト80と並べてみるとこんな感じ。
フロントカップの径はスピードキャストの方がやや大きいが、全体的な高さはほとんど一緒。
前後方向はスピードキャストの方が短い。
クラッチボタンの位置は僅かにスピードキャストの方が低い。
ちなみにゼブコのオメガプロ、33マイクロも合わせて並べてみるとこんな感じ↓
フロントカップを開けてみる
フロントカップを開けるとこんな感じ。
フロントカップは半時計回りに少し捻って手前に引くと取れる構造。
フロントカップはこんな感じ↓
何か黒塗装がうっかり付いちゃった・・・みたいな感じで微妙に黒い。
フチの部分が薄いのも結構不安。うっかりすると変形させてしまいそうである。
本体と引っかける爪みたいなのもちょっと切り欠きを入れて曲げてあるだけなので、強度的に不安な構造である。
表から見るとカッコいいんだけどね・・・
開口部にはスピンキャスト80のようにリングが取り付けられている。
ローターとピックアップピンについて
ローターとピックアップピンはこんな感じ↓
ピックアップピンはステンレス製のピンが2本付いている。
ローターには真ん中の出っ張った部品とラインを押さえるゴムが付いている。
ローターは真ん中の出っ張りを先に外した後に、本体を半時計回りに回すと外す事ができる。
裏から見るとこんな感じ↓
ちなみにローターの材質はステンレスっぽい。これはかなり丈夫そうである。
スプールについて
スプールは真ん中のC型のリングを外すと取り外す事ができる。
この部分の構造はダイワのスピンキャスト80に似ている。
外すとこんな感じ↓
ドラグワッシャーは2枚入っている。素材は紙みたいな、なんだかよくわかんない素材。
スプール材質
スプール材質は樹脂製。他のメーカーのスピンキャストだと亜鉛合金みたいな材質で重いものが多いが、スピードキャストはここで軽量化を図ってるっぽい。
裏面にギザギザがあって、これでドラグ音を鳴らすのもスピンキャスト80と同じ。
安っぽくはあるが、軽いのとエッジが立ってないのはいいところかな。
スプール径
スプール径は46mm。
スプールいっぱいまでラインを巻いたとしたら約63.6cm巻ける計算になる。
実際は少な目に糸を巻くわけだが、その分を差し引いても60cm/ハンドル1回転を達成できるようになっているっぽい。
後でハンドルを1回転させた時のライン長さを測ってみたが、ほぼ60cmちょうど巻き取る事ができた。
ちなみにスプール幅は8.3mmくらい。
メインギア周りを分解してみる
サイドプレートは3本のネジで止まっており、これらを外す事で簡単にメインギアにアクセスできる。ネジ山が直接樹脂に切られてるのがまた強度的に不安ではあるが・・・
開けてみると、ボディいっぱいにメインギアが収められている。
メインギアを外すとこんな感じ↓
メインギア側はギアと樹脂ブッシュの3点のみ。
ブッシュサイズについて
ブッシュのサイズは、外径14mm、内径7mm、幅3.5mm。
この部分をベアリングに交換すれば計4ベアリング仕様にできる。
ハンドルについて
ハンドルは左右交換可能な供回り式。
ダイワのスピニングと同じで、ハンドル側が六角シャフトで、本体側に六角穴が開いている仕様。
軸の径はダイワのスピニング(レガリスLT 2500-XH)と同じだったが、長さは違うので互換性は無かった。
ハンドル長は50mm。ダブルハンドルだと100m相当。個人的にはもう少し短い方が好き。
ハンドルノブはゴム製でグリップが良く持ちやすい。
ちなみにクラッチボタンの表面も見た目は似ているが、クラッチボタンは普通にプラスチックっぽい質感だった。
ロッドに付けてみる
鱒レンジャーCT50 ARMY2に付けてみた。
艶消しブラックが迷彩とよく合う。
パーミングするとこんな感じ↓
持った感じはやはりスピンキャスト80に近い気がする。
リールフットは少し厚いので、ロッドによっては付かない可能性がある。
ファインテールには残念ながら付かなかった。
最悪削れば・・・とも思うが、樹脂なので削ると強度が心配。
多摩川で使ってみた
短時間ではあるが、多摩川で使ってみた。
狙いはスモールマウスとナマズ。ラインは最初から巻いてあったUSAサイズの6lb(日本サイズで8lbくらい)をそのまま使用。ロッドはベイトフィネスロッドとの組み合わせ。
飛距離について
DOG-Xは約30m飛んだ。ラインの出は若干オメガプロやスピンキャスト80に劣る気がするが、実用上問題はなさそう。最初に巻いてあるラインはちょっとゴワゴワしてるので、ラインを変えたら結構変わりそうな気もする。
固定重心のシャッドも難なく投げられる。飛距離は約20mといったところ。
巻いてみた感じ
やはりハンドル1回転あたり60cmの巻取り量の効果は大きい。
ダウンクロスでルアーを引いて来るのが楽。この点では手持ちのスピンキャストの中で一番使い勝手が良い。
しかし、回転ノイズが多く、ちょっとハンドルが重い&安っぽい巻き感。まあ安いから・・・ね。
持ち方については、細かい操作をしないのならこの持ち方が一番力が入る。
ハンドルの反対側のキャップも一緒に回るので、それが手に当たると少し気になるけどね。
トゥイッチや高速ドッグウォークをさせる場合はリールを持たない方がやりやすい。
クラッチボタンについて
クラッチボタンのストロークが短め&押す力も軽めでOKな所が良いところとして挙げられる。
スピンキャスト80と比較すると軽く操作できるので、この点はありがたい。
使用上の問題点
少々巻き心地が悪いけど使えるかな・・・と思っていたら、1時間で3回ほどキャスト時にラインがつんのめる現象が発生した。
その都度ラインチェックをすると、ラインを押さえていたであろう部分の表面がガサガサになって傷が付いていた。
何でだろう・・・と思っていたら、遂にガッツリとラインがロックされた。
その時にフロントカップを開けてみたら・・・ラインを押さえるゴムとローターの隙間にラインが噛み込んでいた。
↓の写真の通り、少し隙間があるんだよね。
この隙間を埋めておかないと安心して使えないのでは、と思う。
隙間を無くしてみた
スーパーXでゴムとローター本体を接着してみる事にした。
隙間にスーパーXを塗って、5kgのウエイトを乗せて一晩放置。
で、完成。
ちょっと塗布面が綺麗でないが、とりあえず隙間は無くなった。
家の中で何十回か投げてみたが、とりあえずラインの引っ掛かりなどは無し。
1.4gのスプーンを吊るしてもスルスルとラインが出ていくので、スーパーXが邪魔になるような事は無さそうである。
ベアリングを追加してみた
メインギアを支えている2個の樹脂ブッシュをベアリングに交換してみた。
ミネベアのDDL-1470 687 内径7mm×外径14mm×幅3.5mmで交換が可能。
ミニチュアベアリング DDL-1470 オープン NMBステンレス1個
ベアリングを追加した結果・・・正直あまり巻き心地に変化なし。
理由はコレ↓
↑の写真で白くグリスが付いてる部分、ピックアップピンの根本の樹脂が擦れる部分のガタ付きが大きく、本体側の回転が良くなっても結局ここで台無し・・・みたいな感じ。この部分をもう少し滑らかにできたらいいのだが、シャフト側も樹脂なので削る訳にもいかないし・・・悩ましいところである。
でもまあ樹脂ブッシュは摩耗していくので、今後の維持を考えたらベアリングに換えておいて損は無いと思う。
開口部中央の突起について
スピンキャスト80とかだとこういうのは付いてなく、開口を狭める事で抵抗になるのでは・・・と思う人もいると思う。
確かにキャスト時にラインに当たってる感はあるのだが、飛距離にさほど影響はないのでは、という感じの当たり方なので、個人的にはあまり気にしなくても良いと思う。
逆にコレがある事のメリットとしては、フェザリングがしやすくなる事。
軽く触れてやるだけで結構ブレーキが効くので、飛距離の調節はしやすい。
また、敢えて狭い所を通す事で、ライントラブルは少なくなると思う。
ちなみにこの真ん中の部品はラインを押さえるゴムを押さえる役割を果たしているようにも見えるが、実際にはこの部品があってもゴムは浮いていたので、もし気になるようだったら取るのもアリかもしれない。
但し、単に取るだけだとネジの先でラインを傷つける可能性があるので、M4の袋ナットを付けるとスッキリする。
ラインキャパシティについて
6lb-100ヤードということになっているが、USAサイズの6lbは日本の物より太い。
なので、まずは2号ラインを30m下巻き。
その後、6lbラインを110m巻いたらこんな感じに↓
という事で、実際のラインキャパシティは6lb-150m、8lb-100mくらいかと思われる。
リールフットを削る
ファインテールに乗せてみたかったので結局削る事にした。
まずは裏側を均等に削る。
その後表側を削る。とりあえず後ろ側のみ削ってみた。
結果、無事ファインテールに装着できるようになった。
まあ強度は不明だが、ちょっと振った感じは大丈夫っぽい。
ちなみに削った部分が白くなってしまったので、艶消し黒のタッチペンで塗装。
これで塗るとまあまあ目立たなくなる。
まとめ
本体重量、巻取り速度、インスタントアンチリバース、カッコいい見た目・・・などなど、好条件は揃っているが、一方で強度に対する不安とラインの噛み込みが残念なリールとなっている。
強度の方はまあ根本的な構造の問題なのでどうしようもないが、ゴムの部分の隙間はどうにかしたいところ。
→ゴムを接着してからはトラブル無し。
巻取り速度と本体重量の軽さはどっちかというと渓流で生きて来ると思うので、何とか細糸が使えるように仕上げて渓流で使ってみたい。
・・・と思って使ってみたが、やはり巻き心地が悪すぎて集中できない。
特に巻き抵抗が大きめのルアーだと振動が大きくなり、泳いでるんだか泳いでないんだかわからないくらい。
例えて言うならゴマすり器とかコーヒーミルを回してるみたい。
ワームとかみたいにロッドでアクションさせてラインスラックを取るだけ、とかならまだマシなのだが・・・
これは根本的に何か変えないと使えないかな。
巻き心地向上の為の改造
巻き心地が悪い理由の1つ、ピックアップピンの土台を受ける軸の部分をアルミに変えてみた。
φ12mmのアルミパイプを切り出して部品を作ってみた。
1回目は色々試してるうちに低くなりすぎて最終的にピックアップピンが出なくなったので再挑戦。
まあまあ良い感じになった。
続いてピックアップピン側を加工する。↓の画像の通り、ピックアップピンの根本の樹脂の軸に当たる部分がガタガタである。(最初からこうだった。)
なので彫刻刀で先端をスパッとカットしてみた。
コレでアルミの軸に真っすぐ当たるから滑らかになるはず・・・
で、組み直した結果交換前よりは良くなったと思うのだが、やはり巻き心地は今一つ。
こういうもんだと割り切って使うしかない・・・かな。