渓流ベイトの楽しさというと、個人的にはキャストの楽しさが多くを占めていると思う。
キャストをより楽しくしてくれるのがグラスロッドで、ブランクがしなやかに曲がってゆっくり戻る事でスプールをしっかりと回してくれてルアーは狙った所へ一直線・・・的なイメージ。
ただ、従来のグラスロッドは良く曲がる反面自重が重く、コントロールするのに力が必要だったり振った後に必要以上に振動したり・・・とやや扱いにくい面もあった。
そんなグラスロッドの弱点を解決してくれるのが昨今流行りのUDグラス。
グラスなのに軽量に作れるようになっているので、グラスの良い所を生かしつつも軽くてシャキッとしたアクションを実現できるようになっている。
ただ、そうは言ってもキャストする時はしっかり曲がる柔らかさが欲しい反面、フッキング時やルアーを操作する時にはある程度の張りが必要・・・といった相反する条件を満たすロッドというのはなかなか無いのが実情だと思う。
そんな中で、かなり理想に近いバランスを実現してくれたのが今回紹介するフェンウィックのFS49CUL-3J。
最高にカッコいい見た目に加え、キャスト時の曲がり、ルアー操作時の張り、軽さ、持ちやすさ、収納性などの渓流ベイトに求められる要素すべてを高い次元で実現したロッドとなっている。
という事で今回は、UDグラスロッドの良さをフルに満喫できるFS49CUL-3Jについてインプレしてみたいと思う。
メーカーHP情報
まずはHP情報をチェック。
FS49CUL-3J “Glass High”
UDグラスを使用した渓流ベイトフィネスロッドの第二弾
カラーリングは往年のイエローグラスのフライロッド同様、イエローブランクスにタンカラーのスレッドで仕上げました。全体的にしなやかに曲がり込むスローテーパーで、軽量なミノーのキャスティングがし易いアクション設定。さらに先端部フェルールの印籠棒をグラスソリッドにすることでしなやかさの中にも適度に腰の有るアクションに仕上げ、正確なキャストコントロールとフッキング時やアクション時の高い操作性を可能にしています。
自重のあるスローテーパーのグラスロッドをワンフィンガーでキャストする際は、グリップ全体を包み込んだ方が安定するので、グリップコルクはダウンフレアーで短めの形状にデザイン。特徴のあるエンドパーツの形状は少しラウンド型に突起させて手のひらに吸い付くような設定になっており、エポキシでコーティングしてあるので軽さを維持しつつ堅牢性が高くなっています。
※装着できないリールもありますのでご確認ください。小型アンバサダーは装着可能。
ホワイトペグのスピゴットフェルール仕様
ステンレスフレームSICガイド全長:4’9″
継数:3pc
仕舞寸法:52cm
ライン:2-5lb
ルアー:3/32-3/16oz
平均自重:81g
フェンウィックのUDグラスロッドと言えば1年前にリリースされたFS53CL-3Jがあるが、FS49CUL-3Jはやや長さが短く、アクションが柔らかくなっている。
FS53CLは結構硬めで、10gまでのルアーをしっかり扱える設定になっている反面軽量ルアーを投げるにはちょっと硬いかな・・・と思う仕上がりだったが、FS49CULは5gくらいのルアーを上限に設定したULアクション仕様で、さらにスローテーパーになっているため、軽量ルアーへの対応力が向上し、よりキャストが楽しめるスペックとなっている。
パッケージ
パッケージはFenwickロッドではおなじみのベロアの布袋。
袋は3部屋に仕切られている。
開けてみるとこんな感じ↓
仕舞寸法は実測で約52cmとスペック表記通り。
外観など
まず目を引くのが黄色いブランク。
スレッドはクリーム色に茶色の飾り巻き。
バット部分の飾り巻きはフェンウィックらしくて良い感じ。
ロゴマークもしっかり入っている。
スペック表記はカタログの通り。
ジョイント部分はホワイトペグのスピゴットジョイント。
結構ジョイント部が長めなので強度的な安心感がある。
ガイドはステンレスフレームのSICガイド。
全体を撮るとこんな感じ↓
グリップについて
グリップはちょっと短めで、後ろ側が少し太いダウンフレアー形状。
グリップエンドまで握り込む事を想定して、グリップエンド部分は段差が無く丸みを帯びた形状になっている。
ワンフィンガーで持つとこんな感じになる。エンド部が手のひらに当たっている。
ツーフィンガーで持つとグリップエンドが手のひらの外になる。
ちょっと太めなで力が入れやすくなっているのが良い所。
重量について
重量は実測で77.7g。平均自重81gよりは少し軽かった。
4.9ftのグラスロッドとしてはかなり軽い部類に入るのではないだろうか。
グリップ部だけだと62.9g。
真ん中のセクションは10.7g。
ティップセクションは4.1g。
アクションについて
軽く曲げてみた感じ↓
強めに曲げてみた感じ↓
強く曲げてみた感じ↓
ロッド全体が曲がる感じのアクションになっている。
ロッド単体で振っても自重でしっかり曲がるが、収束するのも早いのでキャストしやすい設定になっていると思う。
リールとの相性について
ちょっと確認しておくべきなのは取付けられないリールがある事。
アンバサダー1500C:OK
アンバサダー150plus:OK
ABU 1750A:OK
五十鈴工業 BC520X:OK
ミリオネアCTSV:OK
シルバークリークエアTW:OK
アルファスCTSV:OK
22アルデバランBFS:NG
カルカッタコンクエストBFS:NG
Soloking Acura:NG
手持ちのアンバサダー、五十鈴、ダイワあたりは大丈夫っぽかったが、シマノがダメっぽい感じだった。リールフットのR形状の違い?かと思われる。
シマノ バンタムマグキャスト20SG:NG
シマノ BMP251SG:NG
ダイワ ミリオネアST10-AC:OK
MingYang W300:OK
実釣動画
実釣の様子はこんな感じ↓
渓流での使用感
動画でも言及しているが、ものすごく使いやすいロッドだと思う。
まず5cmクラスのミノーの使用感でいうと、しなやかで良く曲がるロッドのおかげで落ち着いてキャストする事ができる。かといって反発力が足りなくて飛ばない、なんて事もない。
トゥイッチすればしっかりとミノーを動かすことができるだけの張りがあり、アップでのミノー操作~フッキング~取り込みまでをかなり高いレベルで快適に行う事ができる。
3.5gのAR-Sを投げてもキャスト時はしっかりロッドが曲がるので弾道のコントロールがしやすい。
4.9ftという長さは狭い所では使いにくいかな・・・とも思ったが、ティップをだけをうまく使う事で狭い空間でも意外とキャストできる。
むしろ変に力まなくても投げられるので勢い余って背後の木を釣ってしまったり・・・というトラブルが減るようにも思える。
軽量ルアーでいうとこの日は2.6gの蝉ルアーを投げたりしてみたが、2g台のフローティングルアーでも十分なロッドの曲がりを確保していて余裕を持ってキャストする事ができた。
5g台のミノーの操作性を維持しつつも軽量ルアーにもしっかり対応できる、といったかなりバランスのいいロッドになっていると思う。
4.9ftとやや長めで、グリップが短めなので若干の先重り感はあるが、その先重り部分がしっかりロッドをしならせる、ルアーにアクションを伝える、といった役割を果たしてくれていると思う。
総重量としては80gを切っているので一日使っても疲れるような事は無く、終始気持ちよく釣りをする事ができた。
まとめ
FS49CUL-3Jは今まで使ってきたトラウトロッドの中でも最上級の使いやすさを誇るロッドだと思う。
グラスロッドの良い所を最大限に感じられる上で、グラスロッドの弱点を極限まで克服した唯一無二のロッドと言っても過言ではないのではないだろうか。
例によって大人気で品薄状態ではあるが、もしこれから渓流でグラスロッドを使ってみたい、という人がいたら一番におススメしたいロッドである。