スピンキャストリールの最大手メーカーと言えばゼブコ。そのゼブコのスピンキャストリールの中で最上級モデルとなるのがバレット(Bullet)。
Bullet = 弾丸の名の通り銃弾のような精悍なデザインに加え、スピンキャストの中では最速クラスの巻取り量を誇り、ハイエンド機の名に恥じない仕様となっている。
唯一の欠点が重量。400g近くあるので最初はちょっと敬遠していたのだが、最近は300gクラスのスピンキャストでも結構使える事に気がついたので、ちょっと使ってみるのもアリかな・・・と思って買ってみる事にした。
スピンキャストリールメーカー最大手のゼブコが本気を出したと思われるバレットの実力をインプレ。
パッケージ
パッケージはこんな感じ↓
箱のサイズは大き目で、TU-01やオメガプロの箱と同じくらいの大きさ。
蓋を開けると・・・丁寧にスポンジに包まれている。
スポンジの蓋を開けるとこんな感じ↓
輸送中の傷など許さない、とでも言いそうな完璧な梱包である。
内容物は本体とスペアスプールと取扱説明書。
ちなみにTU-01、オメガプロZ02と並べてみるとこんな感じ↓
なかなか良い眺めである。
これでスピンキャストのハイエンドモデルを制覇したと言っても過言ではないだろう。
基本スペック
メーカーHP情報はこんな感じ↓
BULLET™
Appropriately named Bullet, it’s faster than all spincast reels. Bullet is even faster than 6.1:1 baitcasting reels and size 20 spinning reels. Geared at 5.1:1, Bullet picks up an unprecedented 29.6” of line with each revolution of the handle – a handle that’s padded with GripEm™ All Weather Handle Knobs.
Price Model # Gear Ratio Product Weight (oz) Bearings Anti-Reverse Hand Retrieve Pre-spooled Lb Mono Capacity IPT (in.) Product Color $99.95 ZB3 5.1:1 13.9 8+1 Instant Right/Left 10lb 90/10 29.6 Black Details
Features
- Triple-cam dial-adjustable disk drag
- High Speed High Strength Precision Machined Brass Gears
- Revolutionary ZeroFriction™ dual-bearing supported pick-up pin design
- Forged Aluminum and double anodized front cover
- Durable all-metal construction
- GripEm™ All Weather Handle Knobs
- Instant Anti-Reverse clutch
- Changeable right- or left-hand retrieve
- Oscillating Quick-Change Spool
- 9 Bearings (8 + Clutch)
- Solid-brass pinion gear
- 29.6 Inches Per Turn – Fastest Spincast Ever
- FreeFlow™ Micro 3mm line guide
- Anodized aluminum spinnerhead
- Patented no-tangle design
- Spare spool of line
- Comfortable soft-touch thumb-button design
出典:zebco.com
スペックからしてもうスピンキャスト界最強と言えるスペック。ギア比はTU-01を除けば最速だし、ベアリング数もこれより多いスピンキャストは見たことが無い。ピックアップピンにベアリングを採用してるのも恐らくこの記事を書いている時点ではバレットだけではないだろうか。更にオメガプロに採用されているアルミ製の軽量ローターや、ワンタッチ着脱式スプールにオシュレート機能に金属製ボディなど、スピンキャストにあったらいいなと思われる機能は全部入りである。
それでいて価格は$99.95、日本でもこれプラス送料くらいで手に入るので、考えようによってはお買い得なのではないかと思えてきた。
展開図はこんな感じ↓
出典:zebco.com
外観など
左から↓
左斜め前から↓
前から↓
右斜め前から↓
右から↓
右斜め後ろから↓
後ろから↓
左斜め後ろから↓
上から↓
下から↓
見た目の高級感は最高レベル。1万円ちょいとは思えない仕上がりである。生産国は中国。
黒を中心としたカラーリングなので引き締まって見える。なので実サイズに対してはコンパクトに見える。
クラッチボタンはオメガプロと同じようにゴムカバー付き。触り心地は柔らかくて良いのだが、押してみるとちょっとゴムに遊びが多い気がする。
フロントカップの穴がめっちゃ小さいのが特徴的。ロッドのガイドのようなセラミック製のリングが付いているので、ラインが通過する際に触れても滑らかである。
ハンドルも手抜き無し。肉抜きされたハンドルには29IPT = 29 Inch Per Turn = ハンドル1回転当たり29インチ、の文字が。
ハンドルノブには滑り止めのパッドみたいなのが貼ってある。これがなかなか優秀で全然滑らない。
クラッチボタン下部には9ベアリングの文字と共に85yd/10lbの文字が。メーカーHP情報と微妙にラインキャパシティが違うのが謎ではあるが・・・
サイズ感
同じゼブコの33プラチナ(20年モデル)と並べてみるとこんな感じ↓
高さ、幅は大体同じだが、長さが結構違う。まあ100g程重量差があるのでこれくらいの差はあってしかるべきだろう。
手持ちの中で2番目に重いアブマチック170と比較するとこんな感じ↓
長さはバレットの方が長いが、幅、高さ方向はアブマチックの方が大きい。重量差は50gくらいだが、バレットの方が重心が低いのでもしかしたら使用感的には近くなるかもしれない。
重量について
重量はライン込みで395.4g。
カタログ通りではあるが、数字で見るとやはり重いな・・・
ハンドルについて
ハンドルは左右入れ替え可能なダブルハンドル。
長さは約100mm。
取り付け方法はオメガプロと同じで供回り式。ハンドル反対側のネジにキャップがあるのもオメガプロと同じで、ハンドルを回したら反対側のネジが回って手に当たる、なんて事は無い。
ドラグについて
ドラグはボディ上部のダイヤルで調節。スピニングと同じようにスプールが空転するタイプ。
ラインの出はスムーズで、調整もしっかりできる。
フロントカップを開けてみる
フロントカップは本体にねじ込むタイプ。反時計回りに回すと外す事ができる。
フロントカップについて
フロントカップはアルミ製。内側は樹脂コーティングされている。
これならローターとの間にラインを挟んで保持しても傷が付きにくいかもしれない。
ローターについて
ローターもアルミ製。表面にテフロン加工っぽい処理がされており、ラインへの摩擦は最小限に。
ライン押さえのゴムも他のスピンキャストと比較するとやや柔らかめで、ラインをしっかり掴めるようになっている。
ピックアップピンはローラー式。しかもベアリングが付いている。
ローターはハンドルを固定して反時計回りに回すと外す事ができる。(結構固かったが・・・)
ピックアップピンを支える樹脂の黒い土台。真ん中辺に見える白い部分は樹脂ローラーで、ローターが回る時の抵抗を抑える仕組みになっている。ホントに至れり尽くせりである。
ローターを外した時の本体側はこんな感じ↓
スプールについて
スプールはドラグを締めてから時計回りに少し捻って手前に引くと外す事ができる。
裏側にはドラグ音を鳴らすためのギザギザが付いている。この構造はオメガプロと同じ。
スプール径は樹脂リング抜きで46.5mm。
スプール径とギア比からハンドル1回転あたりの巻取り量を計算すると約74.5cm。ほぼカタログスペック通りと言える。
オシュレート機構について
スプールを前後させるオシュレート機構付き。(動画:約6MB)
見ての通り動く幅がちょっと狭い気がするが・・・全く動かないよりはマシである。
軽く投げてみた感じ
とりあえず部屋で軽く投げてみた。
まず持ってみた感じ。パーミング時は思ったより重さを感じない。重心がサイズの割に低く、フロントカップが長い分しっかりと全体を握る事ができるので力が入れやすい。
流石にシングルハンドで握って振るとずっしり来る。片手で全力で振るには少しトレーニングが必要そうである。まあちょっと手加減して投げるか、両手で投げる分には大丈夫そう。
軽く投げてみた感じではライン放出の滑らかさにビックリ。3.5号相当の固いラインが巻かれているにも関わらず、投げた時にラインが擦れる音がほとんどしない。33プラチナだと「シャラシャラシャラ・・・」といった音が鳴るのだが、バレットはかなり小さく「フォーーーーーン・・・」という感じ。その点ではオメガプロも結構静かなので、高級モデル用のフロントカップ形状の工夫があるのだろう。
ただ、ライン放出口が小さいので3gくらいの軽量ウエイトを投げた場合には少し飛距離が落ちるイメージだった。
ラインをフリーにしたときにややゆっくり落ちていく感じ。5gあればストンと落ちるのだが、この点についてはラインをもう少し細く、柔らかい物にすれば解消すると思う。
また、巻き心地についてはメチャクチャ滑らか。この点については手持ちの十数台のスピンキャストの中ではナンバーワンだと思う。滑りの良いローターとベアリング入りピックアップピンのお陰で巻き重りも最小限に抑えられていると思う。やってみないとわからないが、これなら巻き物系のルアーにも対応できるかもしれない。
ラインキャパシティについて
ラインを巻き替えてみた。使用するラインはレグロンの12lb。
中華製ラインカウンターで測って90mでこんな感じ↓
オシュレート機能があるおかげで比較的平行に巻ける。
ラインキャパシティは3号90mと覚えておこう。
バス釣りに使ってみた
Mアクションのベイトロッドと12lbナイロンの組み合わせで使ってみた。
飛距離について
投げてみた感じは部屋で試した時と同様に、凄く静かにラインが放出されるのが印象的。片手で投げるのはやはりしんどいが、両手で投げる分にはそんなに重さは気にならなかった。
重心が低いのもあって、アブマチック170と比較すると手首への負担も少なかった。
飛距離については、まずシャワーブローズショーティが約40m飛んだ。
ライザーベイトが約32m。
7gのコーゾースピンは約30m。
ハイピッチャー(3/8oz)は28.5m。
レッドペッパーマイクロは16.5m。
飛距離については十分な飛距離が出せると思う。最大飛距離ではベイトリールにやや劣るが、その代わり軽量ルアーでトラブルが無いのがメリット。
3インチワームのノーシンカーも投げられた。
巻き心地について
巻き心地はかなり滑らか。個人的には恐らくスピンキャスト界No.1だと思う。ベアリング入りピックアップピンのおかげか、巻き重りがかなり少ない。
そのお陰で巻き抵抗の大きいバズベイトやスピナーベイトなんかの巻き物にも普通に使える事が分かった。これはかなり画期的だと思う。
ちなみに巻き物を使う時は↓のようにリール全体をパーミングすると力が入れやすい。
一方で、ミノーのトゥイッチングなど、ハイピッチでロッドアクションを加えたい時は↓のような握り方の方がやりやすい。
ちなみに↑のような持ち方をしてロッドを横に捌く場合に、リールの重心位置が高いと手首に負担がかかる。バレットは低重心なので本体重量の割には手首への負荷が少なかった。
魚とのやりとり
初釣行ではとりあえず小バスが何匹か釣れた。
OSPのドゥルガ73Fにて↓
コーゾースピン7gにて↓
シャッドインパクト3インチにて↓
巻取り速度が速い&巻き重りが少ないのでベイトリール並みにゴリゴリ巻いて寄せる事ができる。これなら大物が来ても十分戦えそうな気がする。
後日、多摩川でマルタを狙うのに使ってみた。
マルタは釣れなかったが、この時期は普通にルアーを喰ってくる鯉がヒット。
50cmオーバー&丸々と太った個体だったが、十分に対抗できる事がわかった。
まとめ
使ってみた感じはかなりの好感触。
ライン放出はスムーズで飛距離は十分。巻取りの滑らかさはスピンキャストトップクラスで現行のスピニングやベイトリールと遜色ないレベル。
更に巻き取り速度も速いので、元々のスピンキャストの手返しの良さと合わせてかなり手返し良く扱える。
唯一の泣き所は重量だが、低重心のお陰で何とかそこも克服できそう・・・という事で、ホントに実戦でベイトとスピニングに割って入れるリールだと思う。
軽量版が出たら日本でもバカ売れしそうな気がするんだけどな・・・
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