ベイトリールやスピンキャストリールの特徴を語る時に、
「スピニングより手返しが良い」
といった表現を使う事が多いと思う。
確かにベールを返して戻して、という作業を両手で行うスピニングと比較した場合に、ボタン操作でクラッチのON/OFFができるベイトリールやスピンキャストリールの方が少ない操作で投げる事ができるので、理屈の上ではその通りであると思う。
じゃあ実際どの程度手返しが良いのか、というのがちょっと気になったので、今回は各種リールを投げ比べて違いを確認してみる事に。
果たして手返し最速のリールは・・・?
ルール説明
今回はタイトルの通り、ピッチングでの手返しをチェックしてみる事にした。
普通にある程度遠くに投げて巻く場合は、リール毎に差のつくキャストの準備の部分に対して巻いている時間の方が圧倒的に長いので差が出にくいと思われる。
一方で、ショートキャストでピンポイントを素早く撃っていくピッチングの場合は着水後ワンアクションで回収するような事も多いので、リールの操作による差が出やすいと思う。
そんなわけで、ルールは以下の通りとする。
①約4mの部屋の端から反対側の壁に向かってピッチングでキャストを行う。
②ルアー(の代わりのラバーシンカー)は必ず1回手で掴んでから投げるものとする。
③壁に当てたルアーが床に着いてからリトリーブを行う。
④①~③を10回繰り返し、そのタイムを記録する。
ロッドは5ftのベイトロッド(鱒レンジャーCT50)と、4.8ftのスピニングロッド(エリアマスターコンボ48)を使用。ちなみに管理人は右投げ。
所要時間を比較
20レブロスLT2000S-XH
まずは手返しが一番悪いと思われるスピニングからテスト。ハンドルは右ハンドルで。
1回目:57.72秒
2回目:57.94秒
3回目:57.91秒
やはり素早くやろうと思うとかなり難しい。
回収した時に垂らしをそこそこ良い所に→ベールを起こしてラインを掴んだ後にルアーを掴んで投げる・・・といった流れになるので結構忙しい。
また、今回は少々垂らしの長さが合ってなくてもそのまま流れで投げていたので、恐らくキャストの正確性も低そう。
そんなわけで、やはりスピニングはあまり手返しが良くないと言える。
ちなみに左ハンドルに変えたら多少マシになるかも、と思ってやってみたが、結果あんまり変わらなかった。(58.90秒)
オメガプロ Z02
次はスピンキャストリールでテスト。ゼブコのオメガプロにて。
1回目:41.69秒
2回目:37.63秒
3回目:42.09秒
やはりスピニングよりは操作が圧倒的に速い。回収したルアーをそのまま掴んで、その間にクラッチボタンを押してすぐに投げる、といった感じで操作可能。
ただ、オメガプロの場合はハンドル1回転あたりの巻取り量が40cm程度しかないので、回収に時間がかかる。
16アルファスエア 7.2R
続いてのエントリーはベイトリールであるアルファスエア。
1回目:38.38秒
2回目:39.75秒
3回目:38.60秒
クラッチ操作はスピンキャストとほぼ同じで、巻取り速度がオメガプロより速いので結構速いかな・・・と思ったがそこまででは無かった。
理由としては、バックラッシュを避ける為にサミングをしている事でルアーが減速している事が挙げられる。壁にルアーを当てた後に床に落とす時も軽くサミングした状態なので、そこで時間をロスしているものと思われる。
とはいえ今の所は暫定1位。
19アルファスCT 7.2L
同じベイトリールでも左ハンドルにしたら更に早くなるか・・・?と思って試してみた。
1回目:35.91秒
2回目:35.16秒
3回目:34.51秒
やはりロッドを持ち替える操作が無くなった分速くなった。スピニングと比較すると10キャストで20秒の差なので1投あたり2秒くらい速い事になる。
但し、アルファスエアの時もそうだったが、軽くバックラッシュしたのを解くのに時間がかかるのでトータルでは同じくらいかもしれない。
↑のようにちょっと出たラインが気になってラインを引き出して直すのにかかった時間が26.86秒。
アンダースピンUS 120XD
ボタンではなくレバー操作のみで投げられるアンダースピンUS 120XD。これも結構期待できそうだが・・・
1回目:33.91秒
2回目:35.18秒
3回目:34.98秒
ほぼアルファスCTと同等の速さ。ハンドル1回転当たりの巻取り量はやや少ないが、フォール時に気を遣う必要が無いのでその間に巻取り準備ができる。
バックラッシュしない分操作に集中できるので、高速で投げて巻くのに向いていると言える。
Abu Garcia 506MK2
アンダースピンでもレバーが無いタイプの506MK2。レバーよりはちょっと時間がかかりそうだが・・・
1回目:37.55秒
2回目:35.91秒
3回目:37.01秒
やはりレバータイプのアンダースピンUS 120XDより僅かに遅くなった。
バスプロショップス エクストリーム スピンキャスト
手持ちのスピンキャスト(アンダースピン除く)の中では最速の巻取り量を誇るエクストリームでトライ。
1回目:34.80秒
2回目:35.16秒
3回目:33.57秒
やはりスピンキャストも操作は少ないので、巻取り量さえあればかなり高速。右ハンドルではあるものの、フォール中に持ち替えれば意外とタイムラグが少ない。
トライアングル TU-01
最後に登場するのがこの用途では最強と思われるトライアングルのアンダースピン TU-01。
レバーでの簡単操作に加えて、ハンドル1回転あたりの巻取り量は80cmオーバー。
1回目:33.83秒
2回目:33.27秒
3回目:33.21秒
やはりTU-01が一番手返しが良い事がわかった。キャスト操作の手順はアンダースピンUS 120XDと同じだが、回収速度が圧倒的に速い。実際のフィールドではピッチングでも10m先とかを狙う事が多いと思うので、更に差が付くのではないかと思う。
まとめ
やはりスピンキャストリールやベイトリールは手返しが良い事が分かった。
特にTU-01は圧巻の速さと投げやすさで、さすが高いだけの事はあるなあ、といった仕上がり。
まあ1投あたりに換算すると0.何秒の差なのだが、塵も積もればなんとやらで、増えた分の1投で釣れる魚がいるかも・・・と思って投げるのも面白いかもしれない。
おまけ
実は紹介した順番ではTU-01が最後になっているが、実際には最初にTU-01で試していた。
一通りやってくると慣れてきてより速くなっている可能性があるので、改めて試してみた。
比較の為に33プラチナも一緒に。
33プラチナ
33プラチナはハンドル1回転あたりの巻取り量が55cmとまあまあの速さ&左ハンドルなので結構期待できるはず。
1回目:32.28秒
2回目:34.32秒
3回目:34.01秒
やはり結構手返しが良い。
TU-01
で、改めてTU-01。
1回目:31.27秒
2回目:30.86秒
3回目:31.12秒
慣れてきたら更に速くなった。やはり手返しNo.1はTU-01だと思う。
また、リールの重量がほぼ同じ33プラチナと比較して気付いたのだが、重心が下に来るTU-01の方がロッド操作が安定するので正確に投げられる事がわかった。
こうなるとTU-01の値段が高いのも納得できるかもしれない。