スピンキャストリールを使っていて少し気になるのが次のような点。
①ラインがつぶれる
②フルキャストすると保持しているラインが滑って少し出る
③ラインを離すタイミングがとりにくい
④サミングによる飛距離の調整がしにくい。
まあ実際には少々ラインがつぶれてもナイロンの場合はさほど強度に影響は無いし、その他の部分もテクニックである程度カバーできるのだが、トップスナップキャストを行うとこれらの点を一気に、更に確実に解決できる。
スピンキャスターとして覚えておいて損はないと思うので、今回はトップスナップキャストについて考えてみようと思う。
トップスナップキャストとは?
トップスナップキャストとは、リールのすぐ前の糸を指で摘まんで投げる投げ方の事である。
まずラインを親指と人差し指で挟んでホールドし、同時にリール側ではラインをフリーにしておく。その後ロッドを振りかぶり、ルアーの重みが乗った所でラインから指を離すとルアーが飛んで行く、というのがトップスナップキャストである。
スピニングで人差し指にラインを引っかける代わりにラインをつまむ、というとわかりやすいだろうか。
ラインを親指と人差し指でつまむ関係で片手で投げるのは難しく、ラインを摘まむ側の手はフォアグリップを握る一方、もう一方の手でリアグリップを握って両手で投げる必要がある。
そもそもフォアグリップを握って投げる事がまずないので、言葉だけで説明すると珍妙な投げ方に思えるが、やってみると意外と違和感がないので少し驚くと思う。
実際に投げてみた
動画で説明するとこんな感じ↓(動画:約19MB)
ロッドは鱒レンジャー改CT40、リールはゼブコの33プラチナ。
33プラチナは重量が約280gとかなり重めだが、両手でロッドを振る事でスイングが安定する。
見た目もさほど違和感が無く、もしフィールドでこういう投げ方をしてる人を見ても、「ああ、両手で投げてるな」くらいの印象で、トップスナップキャストをしてるかどうかは気付かないだろう。
手返しは悪くならないのか?
普通にスピンキャストを使う場合は、
①クラッチを押す
②クラッチを離す
の2動作で済むわけだが、トップスナップキャストの場合は
①ラインを摘まむ
②クラッチを押して離す
③ラインを離す
になるので手返しが悪くなる、といった懸念がある。
という事で比較してみた。(動画:約28MB)
実際にはラインを摘まむのとクラッチを押すのはほぼ同時になるのでそこの時間差は無さそうだが、ラインを摘まむ時に僅かにグリップのポジションが変わるのでその分は時間が伸びている気がする。
とは言えフィールドでは投げる前に投げる先を確認したりする時間があるので、現場では全く問題にはならないと思う。(こないだの秋川釣行でも全く気にならなかったし。)
トップスナップキャストのメリットとデメリット
メリット
メリットをまとめるとこんな感じ。
①ラインに傷が付きにくい
②キャストする時にラインが滑りにくい、もしくは滑ってもよくわかる
③サミングがしやすい
④指にラインの重みがかかるのでリリースのタイミングが掴みやすい
⑤フォアグリップを掴む事で、短い竿でも両手投げが可能で、重いリールでもキャストが安定する
といった所。かなりのメリットがあると思う。
デメリット
デメリットをまとめるとこんな感じ。
①若干手返しが悪くなる。(とは言え気になるレベルではない。多分スピニングよりは早い)
②両手を使うのでフリップキャストとかピッチングはできない。
③右投げの時に右ハンドルのリールを使うとハンドルが邪魔
④セパレートグリップだと少し投げにくい
①②のデメリットが気になるシチュエーションでは普通にクラッチボタンを使って片手で投げればいいので、使い分ける事で解決可能。
③は左ハンドルにできるリールを使えば問題無し。④もストレートグリップのロッドを使えば解決。
タックルについて
最近のロッドはフォアグリップが短いので、↓のように持つとちょっと持ちにくかったりする。
この場合、手をリールに寄せて、リールごと包む感じで持つ方が持ちやすいし、キャスト後の動作にもスムーズに移行できる。
という事は、リールはなるべくロープロファイルなものの方が持ちやすい、という事になる。
ロッドについてはセパレートグリップのものはちょっとやりにくい。
普通に持った場合の左右の手の感覚はこんな感じだが・・・
このロッドでトップスナップキャストをしようとするとこうなる。
これだと左右の手が離れすぎていて違和感がある。なのでグリップは短めのストレートグリップの方が好きな位置が握れるので調節しやすい。
まとめ
スピンキャストを使うならトップスナップキャストは覚えておいて損はないテクニックだと思う。無理に常時使う必要もないので、トップスナップキャストの方が良さげな時だけ使えばよい。
慣れると自然にトップスナップキャストしてしまう自分がいたりするので、理にかなった投げ方の一つであるのは間違いないと思う。