【3Dデータ公開】ファントムマグサーボGS5のフィネススプールの作り方【3Dプリンター】

カスタムパーツ
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2022年は3Dプリンターを活用して様々なリールのフィネススプールを製作してフィネス化してきました。

その中でも、ファントムマグサーボGS5は元々が小径&ナロースプールなのもあってフィネス化したらかなり軽量ルアー対応力が高い物ができました。

 

という事で今回は、このスプールの作り方を公開してみたいと思います。

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スプール本体を3Dプリントする

最近はDMM.makeを始めとしたオンラインで3Dプリントを委託できるサービスが充実しているので、図面ファイル(STLファイル)さえあれば簡単にプリントする事ができます。

といってもそのSTLファイルを作るのが一つのハードルだったりするので、今回は↓のデータを公開します。(右クリックでダウンロードしてください。)

Phantom_Magservo_GS5_Spool.zip

ダウンロードして解凍すると、Phantom_Magservo_GS5_Spool.stlというファイルになります。

設計上の寸法は下記の通りです。

スプール外径:29.6mm

スプール幅:23.0mm

シャフト用の穴の径:5.0mm

【ダウンロードにあたっての注意事項】

・3Dプリントの精度も上がっては来ていますが、素材によって0.2mmくらいは誤差が出るので、出力後に多少削ったりする必要があります。(プリントしたら即使えると思っている人はダウンロードしないでください。)

・このデータを使って作った物を販売したり、データそのものを販売したり、といった行動はしないようにお願いします。

・データの再配布もしないでください

・このファイルを使って製作したものによる損害などの補償は一切できませんので、自己責任にてご使用ください。

DMM.Makeの場合

先のSTLファイルをDMM.makeにアップロードするとこんな感じになります。(事前にユーザー登録をしておいてください。)

素材を選んで注文すると後は待つだけなのですが、モデルの構造によって指定できる素材が異なる点に注意が必要です。

このスプールのモデルは中空構造なので、中空構造に対応していない素材は選べません。

(詳しくはDMM.make内のデザインガイドラインを参照ください。)

個人的に実績があるのは高精度アクリル、MJF(PA12GB)とガラス入りナイロンになります。

ガラス入りナイロンの場合は注文して10日~20日すると届きます。実際に届いたパーツはこんな感じです↓

価格は2022年12月22日現在で1,713円でした。

国内で造形しており、日本人が対応してくれるので安心感があります。図面に不備がなければ全く会話する事なく造形できてしまうのもありがたいです。

JLCPCBの場合

JLCPCBは海外のサイトなのですが、圧倒的な低価格が魅力のサービスです。

3D PrintingからAdd 3D Filesを押してSTLファイルをアップロードしてください。(アップロード&見積は登録しなくてもできますが、注文の際にはユーザー登録が必要です。)

アップロードするとこんな感じになります。

その後素材を選ぶのですが、自分はこんな感じで選びました。

3D Technology : MJF(Nylon)

Material:PA12-HP Nylon

Color:Dyed Black

あと、多分関税の計算の為に何用の物か、を入れるProduct Descなる項目がありますが、これはothers, Fishing Tools、と入力しています。

注文するとこんな画面になります。

ここで図面のチェックが入ります。数時間すると↑の赤丸部分にビックリマークが付くのですが、これは、「0.8mm以下の厚みの箇所があって破損するかもだが大丈夫か?」というメッセージです。

ビックリマークを押すと、↓のような画面になるので、Yesを選択します。(一応全体を厚さ1mmで設計しているのですが、どこかが0.8mm以下とみなされているようです。)

その後チェックが進んで注文可能になったらJLCPCBからメールが来るので、その後に支払いを行うといった流れです。

届いたスプールはこんな感じです。(マグサーボのものは一番左の小さいやつ)

プリントしたスプールを組み立てる

スプール本体ができたら、シャフトとインダクトローターを組み付けていきます。

材料と工具

必要な材料と工具はこんな感じです。

・インダクトローター用のアルミパイプ:外形18mm、厚さ1mmのもの、長さ100mm程度以上

・シャフト用丸棒(φ3mm、長さ100mm程度以上、真鍮 or アルミ)

・シャフト用パイプ(外径φ5mm、厚さ1mm、内径φ3mm、真鍮 or アルミ、長さ100mm程度以上)

・パイプカッター(パイプを切る用)

・軸付き砥石(φ18mmのパイプの内側のバリ取り)

・ワイヤーカッター(φ3mmの丸棒切断用)

・鉄工ヤスリ(シャフトのフラット面を削り出す)

・φ3mm&φ5mmのドリル(内径を出すため)

・金属みがき(シャフトを磨く為。ピカールでも可)

・マスキングテープ(シャフトをつかむ時に傷を付けない為)

・IOS-01(完成後に塗る)

・ノギス(0.05mm測れるもの。ちゃんとしたメーカーのが良い)

・電動ドリル(穴あけ、バリ取り、スプール外周を削る時に使用)

・小型バイス:シャフトを削る時に使用

・メタルロック接着剤(シャフト固定用)

・小型ヤスリ(シャフトの形を整える)

・紙ヤスリ(スプール外径を整える)

・モンキー(リール本体分解用)

・ドライバー(リール本体分解用)

・ピンセット(ベアリング交換用)

作り方

まず材料を切り出します。φ3mmのシャフトは55.2mmに、φ5mmのパイプは37.8mmに、φ18mmのアルミパイプは10.8mmに、といった具合です。純正スプールと比較しながら合わせていくと良いと思います。

φ18mmのパイプは内側のバリを取ってスプールの枠にはめ込んで接着します。

接着にはメタルロックを使用してください。

続いて仮組みです。スプールの内側の穴は5mmで設計していますが、3Dプリントすると4.9mmとか4.8mmで仕上がってくる事が多いので、φ5mmのドリルを通す事で穴径を合わせます。

φ5mmのパイプもパイプカッターで切ると内側にバリが出るので、φ3mmのドリルを通してφ3mmの丸棒が通るようにしてください。

うまく通るようになったらまずは5mmのパイプと3mmの丸棒を接着します。ここでもメタルロックを使用します。

丸棒とパイプの接着が完了したら、ピニオンとかみ合う部分のフラット面を削り出します。

シャフトを小型バイスで挟んで固定し、鉄工ヤスリでゴリゴリ削っていきます。ピニオンギアを外して、かみ合いを確認しながら削るのが良いと思います。

シャフトを削り終わったら金属磨き(orピカール)で表面を磨いておきます。(スプールの内部に入る部分は磨かない方がしっかり接着できると思います。)

磨き終わったら、スプール本体とシャフトを接着します。

接着する前にはリール本体と仮組みを行い、シャフトとスプールの左右位置を合わせ、その位置をノギスで正確に測定しておきます。

接着剤を塗って差し込んだら、ノギスを使って正確な位置に合わせます。

接着材が乾いたらいよいよ使える・・・と言いたい所ですが、おそらくそのままだとスプールが本体に多少干渉すると思います。(外径にも誤差があるため)

そこで、外径を削っていくのですが、シャフトにマスキングテープを貼って保護した上でドリルでチャックし、ドリルでスプールを回しながら削ると良いと思います。

↓削っている途中のスプール。枠とスプールの隙間がほとんどありません。

ラインの噛み込みを抑える為に、干渉しないけどなるべく隙間を少なく・・・といった感じで調整していきます。

スプールの干渉が無くなり、スムーズに回るようになったら完成です。ちなみにシャフトにオイルを塗るのを忘れると全然回らなかったりするので、回転をチェックする前に塗っておいてください。

自分の場合、こんな感じの所要時間でした。

1日目:シャフト、パイプの切り出し、長さ合わせ、接着(約1.5時間)

2日目:シャフトのかみ合い部分削り出し、スプールとシャフト接着(約1.5時間)

3日目:スプール外径調整(約1時間)

この工程が結構面倒なので、スプール完成品の販売はしたくないですね・・・

ベアリングも交換しよう

ファントムマグサーボGS-5はスプールの軸受けが樹脂ベアリングなので、ちゃんとしたベアリングに交換した方が良いです。

外径9mm、内径5mm、幅3mmなので、DDL-950ZZを2個購入すると良いと思います。

実釣動画

管理釣り場で使ってみた様子がコチラ↓

【1g台キャスト可能!?】ファントムマグサーボGS5を自作スプールでベイトフィネス化してみた【DIY finesse spool for Phantom Magservo】

1g台後半はしっかり投げられます。

まとめ

という事で今回はファントムマグサーボGS5のスプールの作り方を紹介してみました。もし興味がある方は試してみて頂けると面白いかと思います。

製作にあたって必要そうなものの商品リンクを以下に貼っていきますので、参考にして頂けると幸いです。(ポチっとして頂けると励みになります。)

φ3mm丸棒(↑の製作例ではアルミを使ってますが、真鍮の方が長持ちすると思います。)

φ5mm丸パイプ

φ18mmアルミパイプ

パイプカッター(ダイソーにも550円で売ってる場合があります。)

ベアリング

STLファイル自体を自分で描いてみたい、という人は

入口としておススメなのがTINKERCADです。CADとは言いますがブラウザ上で動作するのでインストールしなくても使えます。自分はFUSION360に移行しましたが、とりあえずで始めるならこっちの方がわかりやすいと思います。

簡単に使い方を紹介した動画がコチラです↓

【自作スプール入門】TINKERCADでリールの部品を描いてみる【3Dプリンタへの出力も可】
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