ダイワの新コンセプト、HYPERDRIVEデザインによって強く、軽く、滑らかになったというリールが21ジリオンSV TW。
34mm径のSV BOOSTスプール搭載で、太目のラインを使用できて、よりキャスト性能が向上したというのが大きな特徴。
個人的にはφ34mmのSVスプールを載せたミリオネアを使っている事もあり、それと比べるとどう違うのかが気になる所。
従来のSVスプールは軽量ルアーから重量ルアーまで幅広くトラブルレスで投げられる反面、最大飛距離では遠心やマグフォースZより劣るイメージがあった。
その点がSV BOOSTで解消されているのであればもう完璧なのでは・・・と思う。
とりあえず買ってみたので、その実力についてチェックしてみたいと思う。
メーカーHP情報
まずはHP情報をおさらい。
ZILLION SV TW
1000PL,1000L,1000HL,1000XHL = 2020.12 デビュー
1000P,1000,1000H,1000XH = 2021.01 デビュー
ハンドルノブS交換可
ソルト対応
次世代両軸ベイトリール HYPER DRIVEデザイン採用 タフバーサタイルリールの真打登場
HYPERDRIVEデザインによる高い基本性能が永く続くことを目指し、全ての基本性能の水準を大幅に高めた設計思想の次世代ベイトリールが登場。
HYPERDRIVE DIGIGEAR搭載で、強く滑らかな回転を実現し、HYPER ARMED HOUSING(FULL AL)でコンパクトながら、強靭なボディ剛性を実現。
タフバーサタイルリールの大本命といえるジリオンシリーズの真打ちともいえる存在。
キャストアキュラシーもスプールφ34mmSVBOOSTスプールを搭載し、軽量ルアーから重量級ルアーまでの幅広いルアーウエイトに対応することは勿論新たなBOOST機構により、より飛距離向上といったキャスト性能の向上まで図られている。
次世代両軸ベイトリールテクノロジー HYPERDRIVEデザイン
■HYPERDRIVE DIGIGEAR
強く滑らかな回転が持続し続けることを追求したベイト(両軸)リールにおける新設計のギアシステム。 耐久性に直結するギアの歯のモジュール(大きさ)は小さくせず噛合い率アップを達成し、 初期の滑らかさが長く続くことを実現させたDAIWA独自のテクノロジー。■HYPER DOUBLE SUPPORT
滑らかさの持続と、巻きの強さ・軽さを実現した駆動サポートシステム。ピニオンギアの両端を2つのボールベアリングで高精度に支持することで、ハンドルからの入力を減衰せず、負荷が掛かった時でも力強く、軽く巻上げることを可能にした。■HYPER ARMED HOUSING (AL)
内部構造を高剛性、高精度でしっかりと支え、精緻な巻き心地とパワーを生む筐体システム。要であるフレームに金属素材を用いることが必要条件で、サイドプレートやセットプレートとの組合せにより、基本性能をさらに長く発揮し続けることを可能にする。本シリーズでは、フレーム、ギア側サイドプレート、ダイヤル側セットプレートにアルミニウム合金を採用。堅牢無比な強度を実現したフルメタルハウジング仕様となっている。■HYPER TOUGH CLUTCH
何千回、何万回でも摺動し続けるメリハリのきいたオン・オフ性能だけでなく、塩分濃度の高い海水域でも極めてトラブルの少ないクラッチシステム。 過酷なソルトシーンにおける固着修理件数を、当社比で既に99%削減する実績をもたらした、最先端の絶縁構造を誇る。
DAIWA TECHNOLOGY
■SV BOOST
爽快なキャストフィールとトラブルレス性を高次元で両立し、飛距離アップを果たした次世代SVコンセプト。 従来、1段階の作動だったインダクトローターのストロークを伸ばし、2段階目のストロークを実現。低回転時には1段階目のストロークのみで適度なブレーキを効かせ、フルキャスト時には2段階をフルに活かした最適なブレーキ後に、1段階戻ることで弾道後半は弱いブレーキ力をキープ、結果、キャスト後半の伸びを得られ、飛距離アップに貢献した。■エアブレーキシステム
アキュラシー性能を大幅にアップさせつつ、極めてバックラッシュが少ない、ストレスフリーな使い心地を実現したブレーキシステム。軽量インダクトローター構造と軽量スプールとの組み合わせでスプールユニットとしての回転レスポンスを大幅に向上。同時にオン&オフがハッキリした効きの良いマグブレーキとの相乗効果を狙ったセッティングでフルキャスト時にはしっかりブレーキが効くが、ピッチング等の低回転時にはインダクトローターが飛び出さず低弾道で撃ち込める。つまり、小さい力でもスプールがスパッと立ち上がり、力まなくても驚くほどルアーがよく飛び、逆に力みにより発生するバックラッシュゾーンに対してはきっちりブレーキを掛ける。結果、同ブレーキ設定で、ピッチングとキャスティングが高レベルで両立する快適さをもたらした。■TWS (T-WING SYSTEM)[T-ウイングシステム]
近年のスプールの軽量化・低抵抗化で、急激に回転数が上がるスプール性能をフルに活かすには…?DAIWAはそこにメスを入れた。バックラッシュとは、交通に例えると車の渋滞。大都市、交通量の多い道路。急に車線が減って車が集中すればたちまち渋滞する。逆に、車線が増えれば・・・渋滞とは無縁、スイスイ進む。TWSは、スプール回転数が一番上がるスプール至近のラインガイドでの抵抗を大幅に削減し、バックラッシュの少ない、快適な釣りを約束する。よく飛び、コントロール性が上がり、フォールも速く、バックラッシュが少ない。TWSはベイトリールの全ての基本性能を向上させる。■UTD[アルティメットトーナメントドラグ]
ドラグ効き始めの初期の食い付きを解消し、スティック(ムラ)のない滑らかさを実現しながら締めれば締めるほど効く最大ドラグ力を兼備する。ZILLION SV TW
品名 巻取り長さ
(cm/ハンドル
1回転)ギア比 自重
(g)最大
ドラグ力
(kg)標準巻糸量
ナイロン
(lb/m)スプール径
(mm)ベアリング
(ボール/ローラー)メーカー
希望本体
価格(円)JAN
コード1000P 59 5.5 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072512 1000PL 59 5.5 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072529 1000 67 6.3 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072536 1000L 67 6.3 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072543 1000H 76 7.1 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072550 1000HL 76 7.1 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072567 1000XH 90 8.5 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072574 1000XHL 90 8.5 175 5.0 14/45-90
16/40-8034 8/1 42,800 4550133072581 出典:ダイワ
今回は1000XHLを購入。店頭で手に取って回してみた所、思ったより巻き重りもしなかったのでハイギアを選択してみた。
パッケージ
パッケージはこんな感じ。
シンプル段ボール箱入り。
中身は本体と取説のみ。
外観など
左から↓
左斜め前から↓
前から↓
右斜め前から↓
右から↓
右斜め後ろから↓
後ろから↓
左斜め後ろから↓
上から↓
下から↓
見た目はシルバーと黒の2色でスッキリした印象。凝った模様や肉抜き、大きなロゴマーク等々の装飾が無いのが個人的には好印象。
裏にはMADE IN JAPANの文字が。やはり日本製というと安心感がある。
サイズ感
近くにあったカストキングのゼファーと並べるとこんな感じ↓
そんな誰も持ってないリールと比較されても・・・という声が聞こえてきそうだったので続いて17タトゥーラSV TWとの比較。
前後方向が21ジリオンの方がやや短くてコンパクト。19タトゥーラと同じくらいなのかな?
ついでに17スコーピオンDCと並べてみた。
個人的には飛距離で比較してみたい組み合わせ。スコーピオンに重量ルアーの最長飛距離で勝てるようだと面白いのだが・・・
重量について
重量は実測で176.0gとほぼカタログ通り。
金属ボディのリールにしては軽い。170gのアルファスCTと5gしか変わらない。
SV BOOST スプール
最も気になるSV BOOSTスプールの仕組みをチェック。
インダクトローターと本体の位相がずれるとインダクトローターが出て来る、という基本構造は従来のSVスプールと同じ。
じゃあ2段階動作はどうやって実現しているのか、というと、単純にバネを2段にしているものと思われる。
↓の写真でインダクトローター中央に白い板が映っているのだが、定位置では白い板とインダクトローターは接触しておらず、白い板に当たるまでは従来のSVスプールと同じくらいの力で飛び出してくるイメージ。
白い板に当たった後は白い板の上にあるバネの力が働くので、当たる前と比べて倍くらいの力が必要になる。
という事で、白い板に当たる前後の2段階でブレーキ力が変化するという事になる。
慣性力が強く働くキャスト直後には強く効き、スプール回転が落ちて来るキャスト後半では弱めになる事が期待されるので、うまくいけばSVスプールの弱点であったキャスト後半の失速感が解消される、という事になる。
従来のSVスプールと並べてみるとこんな感じ↓
引っ込んだ時の位置が若干SV BOOSTの方が低いようにも見える。
一方で出た時の位置は大体一緒くらい。
あと微妙な違いとして、インダクトローター側のシャフトにOリングみたいなのが付いてるのと、反対側に樹脂の板が付いている。
多分ちょっと圧を与える事でカタカタするのを防ぐ為のもの・・・かな。17タトゥーラSVTWあたりはカチャカチャとした音が気になるが、21ジリオンSVTWでは静かになっている気がする。
スプール重量は13.3g。
スティーズSV105スプールの方が若干軽い。
外径は34mmピッタリで、細い部分の直径は21.5mmだった。
ブレーキ調整について
ブレーキはサイドプレート下部のダイヤルで調整。
操作しやすく、20段階できめ細かい調整が可能。ブレーキ力の調整幅も広く、MAXにするとかなり強くブレーキがかかる。
開けてみるとこんな感じ↓
一応メカニカルブレーキもあるのだが、基本はメカニカルは効かさず、スプールがカタカタするかしないかに設定する。
ハンドルについて
ハンドルは90mmと少し長めの設定。
今回買ったのはハンドル1回転あたり90cmのハイギアモデルなので、長めの方が巻き重りしにくくてバランスが良いと思う。
ノブはIシェイプノブ。細かい操作がしやすい。
TWSについて
もはやダイワの定番となったターンアラウンド式のTWSを搭載。
これに関しては明らかに放出抵抗が少なくなるので付いているとありがたい。
しかし端に寄せた状態だと、意外にもスプールの反対側から距離があるなあ・・・
ラインを巻いてみた
ラインキャパシティは16lb-80mとの事なので4号ラインを巻いてみ事に。
ジャストロンの4号を巻いてみると・・・80mでこんな感じ。
ドラグについて
ドラグはアルティメットトーナメントドラグ。
ザイオンノブは適度に長さがあり、片手でドラグを弾いてラインスラックを取ったりする事もできる。
素晴らしいのがドラグクリッカーを採用している所。ドラグがどの程度出ているかわかりやすいので大物が来た時に重宝する・・・って16lbラインがガンガン出て行くようなサイズの魚はなかなか釣れないんだろうけど。
ドラグクリッカー音はこんな感じ↓(動画:約7MB)
ロッドに付けてみた感じ
ロッドに付けて持ってみるとこんな感じ↓
結構コンパクトなのですっぽり手に収まる。
サムレストが広いので親指を置いた感じも良い。
軽く投げてみた
とりあえず廊下で軽量ルアー対応力をチェック。
4.4gの消しゴムをフリップキャストで投げる事ができた。16lbラインをフルに巻いている事を考えるとかなり軽量ルアー対応力は高いのではないだろうか。
3.8gは流石にラインが浮くので厳しいが、5-6mくらいは投げられる感じ。フリップキャストでなければもう少し飛ばせるかも。
これならスモールプラグやスモラバも使えそう。重い方はラインの太さからすると2ozくらいまではイケそうなので、かなり対応幅は広いんではないだろうか。
巻き心地について
HYPER DRIVEのお陰でかなり滑らか。
MMギアを搭載したシマノのリール程のニュルニュル感は無いものの、実用レベルでは十分な滑らかさだと思う。
手持ちのアルファスCTが新品だった頃を思い出すと・・・そこまで劇的な違いは無いような気もするが、これが長持ちするのがウリでもあるので、今後の様子に期待したい所である。
飛距離について
相模川で試投してきた。
ラインは16lbナイロン、ロッドは7ftでアクションはH。
ハンドル1回転あたりの巻取り量はカタログスペックでは90cmだが、今回はスコーピオンDCと比較したいので条件を合わせるため、スプール径×ギア比で90.746cmとして計算する。
X48アクロバット:12回転=10.9m
ロザンテシャッド:26回転 = 23.6m
タイニーピーナッツ:21回転 = 19.1m
シャワーブローズショーティ:55回転 =49.9m
レベルバイブ:48回転 = 43.6m
SV BOOSTのお陰か、飛距離は結構出るイメージ。シャワーブローズショーティがほぼ50m飛んでいるので、実用上は十分なのではないだろうか。
一方で軽い方は4g台くらいから実用圏内。16lbをめいっぱい巻いている事を考えるとかなり幅広く対応できているのではないかと思う。
普通に投げる分にはマグダイヤルを6-9くらいの間で調整すれば今回投げたようなルアーは投げられると思う。
向かい風に向けて投げてみたり、振り切らずにひょいっと投げたりしても大きく乱れる事が無いのがSVスプールの良い所。トラブル耐性は従来のSVスプールと同じように優秀だと思う。
但し、今回一番飛んだシャワーブローズショーティの最大飛距離ではややスコーピオンDCに劣る感じ。同じルアーを同じロッドで投げてみた結果がコチラ。(スコーピオンDCの巻取り量はスプール径×ギア比で76.87cmとする。)
X48アクロバット:18回転=13.8m
ロザンテシャッド:27回転=20.8m
タイニーピーナッツ:28回転=21.5m
レベルバイブ:60回転=46.1m
シャワーブローズショーティ:68回転=52.3m
表にするとこんな感じ↓
ルアー | 21ジリオンSV TW 1000XHL | 17スコーピオンDC101HG |
X48アクロバット | 10.9 | 13.8 |
ロザンテシャッド | 23.6 | 20.8 |
タイニーピーナッツ | 19.1 | 21.5 |
レベルバイブ | 43.6 | 46.1 |
シャワーブローズショーティ | 49.9 | 52.3 |
全体的に見るとかなりいい勝負ではある。
スコーピオンの場合はブレーキ特性がバッチリ合うとスコーンと飛ぶ感じで、ジリオンの場合は何を投げてもブレーキダイヤルなりに飛距離が変わる感じ。なのでハマった時の飛距離では負けるかもだが、アレコレ変えながらトラブル無く快適に使う、という点ではジリオンが勝るように思う。
まとめ
とりあえず軽く触ってみた感じでは軽くて剛性感がある上で幅広いルアーに使えそうなイメージ。
ただそれだけだと正直アルファスCTやタトゥーラSVTWと劇的に差があるようには思えないので、やはりSV BOOSTの真価を体感したい所。
んで、実際に投げてみた感想は従来のSVスプール対比だと若干飛距離が伸びたかな・・・といった感じ。元々のSVスプールも結構飛ぶので正直感動するほどの感覚は無かった。
まあ従来比4%とかという事なので劇的に変わるというものではないんだろうが、スコーピオンDCとの比較でもいい勝負だったので、遠投用途でも十分に対応できるリールに仕上がっていると思う。