ゼブコのオメガ、デルタシリーズに於いて1つ残念なのが社外ハンドルへの交換が出来ないこと。
独特な形状をしている為ポン付けで代替できる物は無く、何らかの加工が必要になってくる。
ならば純正ハンドルを削って自作しようか・・・とも思ったのだが、どうしても気になる画像を見つけてしまった。
「ゼブコ オメガ ハンドル交換」で画像検索すると上位に表示される画像。
どういう訳かスタードラグが付いており、ウッドのオフセットグリップに乗せられていた。
これこそ正に俺が求める姿だ!と思ったのだが、スタードラグを綺麗に取り付けるにはハンドル軸の方に雄ねじを切る必要がある。
となると自力では難しいので、今回は図面を書いて金属加工業者に依頼する事にした。
という事で今回は、個人で部品加工を依頼する場合の手順や金額などについて纏めておこうと思う。
加工業者選び
「部品加工 個人」のようなキーワードで検索するとすぐにそれらしい業者が見つかる。
選ぶ基準としてはこんな感じ↓
・取引の流れが明示されている
・正確な図面だけでなく、ポンチ絵でも対応可能
・加工事例があってイメージがしやすい
・金額の例が出ている
いくつか見た中では、「1-OFF.jp」という所が良さそうな感じ。
サイトも見やすく、過去の事例が豊富に載せてあり、リールの部品くらいなら余裕で作れそうな雰囲気だったので、今回はこちらにお願いしてみる事にした。
依頼用図面の作成
まずは手書きで純正ハンドルの寸法取り。
ギアと噛み合う部分は純正に合わせる必要がある。
一方で反対側にはスタードラグを付けたいので、ベイトリールのハンドル軸を参考にする。
アンバサダーのハンドル軸とスタードラグをスケッチ。
これらを元に、新しい部品の図面を書いて行く。
やはりCADで書く方がいいのだが、自宅のPCにはソフトが入ってないので今回はAutoCadLTの試用版を入れる事に。
で、書いてみたのがコレ↓
機械系の製図のプロではないので色々適当だが、一応伝えたい事は伝わるのではないか・・・と予想。
業者さんへ見積依頼→発注
ホームページのお問い合わせフォームから見積依頼をかける。添付には上記の適当な図面を添えて。
内容はこんな感じ
—
お名前 = xxxx
メールアドレス = xxxx
材質 = SUS304又は真鍮又はA7075
数量 = 2個
用途 = 釣り用のリールのハンドル用部品
メッキ = なし
メッセージ = 突然のご連絡失礼致します。添付:Parts001.pdfの部品製作の場合のお見積りをお願い致します。また、材質についてはSUS304(303でも可)、真鍮、A7075それぞれのお見積りを頂けますようお願い致します。
添付1 = Parts001.pdf
添付2 =
添付3 =
—
すると翌日、早速返信が来た。
いくつか寸法の確認が必要なものの、とりあえず概算見積は可能との事。
・材質SUS303、2個: @10,000円 x 2
・材質真鍮、2個: @8,000円 x 2
・材質A7075、2個: @8,500円 x 2
注意事項としてはこんな事が。これらに関してメールでやりとりをする。
・ネジは根元まで切ることが出来ません。→ OKです。
・M8のネジピッチは1.25と致します。 → 0.75でお願いします。→ 念のため相手ネジを送付してください。→了解です。
・オスネジの根元にニゲ溝が入ります。→ OKです。
・M3のネジピッチは0.5と致します。 → OKです。
・ネジの底は平らでは無く、ドリル底(すり鉢状)と致します。 → OKです、但し有効ネジ長さは図面通り確保してください。
といった具合。
あと、当初2個発注しようと思っていたのだが、失敗したらアレなのでとりあえず1個に。材質は真鍮で。
更にベアリングに入るφ7の部分だけ公差を厳しく。これによって10%の価格UP。
これらのやりとりの後、正式な見積もりをもらう。
内容に問題なければ発注。価格は税抜き\12,800、消費税込みで\14,080だった。2個の場合は1個あたりの単価がもう少し安くなる。
もはや本体より高いのだが、オーダーメイドならこれくらいはかかるだろう。
図面チェック
代金を支払うと、正式な図面を送ってくれる。
実際の図面がコレ↓
さすがプロの図面。ちなみに1か所採寸間違いがあって寸法を直してもらったが、それは無料で対応してくれた。(φ12の部分の長さを3.5mm→6.5mmに変更)
図面OKの連絡を入れると制作開始となる。制作期間は4週間~5週間との事。今回は1/19に図面OKで、納入日は2/18といった感じだった。
部品が到着
部品はしっかりと梱包されて送られてきた。
完成した部品がコレ↓
一通り寸法をチェックし、問題なければ部品制作は完了。
どこを見ても問題はない。流石ジャパンクオリティ。
組み立て
部品は完璧に仕上がったので、後は組み立ててハンドルにする。
先の部品にM3×45mmのステンレス製寸切ボルトを付け、M3×3mmのセットネジで固定する。
M3ネジのねじ込み長さは純正ハンドルに合わせる。
その後セットネジで固定。
続いてドラグノブをねじ込み。ネジピッチもバッチリ。
ハンドルもすっぽり入った。
最後に六角ナットを締めたら完成!
純正ハンドルと並べるとこんな感じ↓
今回は軸間70mmのハンドルを使用。純正より10mm短いので、より高速に巻けるようになるハズ。
リールに付けるとこんな感じになった。
かなり期待通りに仕上がったと思う。真鍮の金色がデルタに合っている。
ちなみに図面を書く時に一番悩んだのがドライブギアと噛み合う三角の部分。ここが合わないと機能的にマズいのだが・・・
完全に合わせる事に成功!
多分純正よりピッタリなのではないだろうか。
ちなみに大きい方のZO3にも装着可能。
でもオメガプロには黒いハンドルの方が良いかな。
まとめ
結果としては数回のメールのやりとりで部品を制作してもらう事ができた。
仕上がりもバッチリで、お陰でオメガ/デルタのハンドルを好きなように変えられるようになった。
お金はそれなりにかかるものの、この形状の金属加工は到底自力ではできないので、頼んで良かったと思う。
今回の件で割と気軽にお願いできる事がわかったので、今まで部品が無くて諦めていた改造ができるようになるかも。
次は何を作ってもらおっかな・・・