国内メーカーの現役スピンキャストは2020年現在では数えるほどしかないが、そのうちの一つが今回紹介する五十鈴工業のピッキーノ。
プラスチックボディでカラーバリエーションが豊富で、価格もお手頃なのでスピンキャスト入門には持ってこいと言えるリール。
アニメとのコラボモデルやBEAMSとのコラボモデルなんかもあり、遊び心に溢れているのが良いところ。
一方でベアリングが一つも入ってなかったり、巻取り速度が遅かったりと、スペック的にはやや不安な感じもあるが、その辺は使って見ないとわからない・・・という事でとりあえず買ってみた。
持ってるだけでテンションの上がるデザインのピッキーノをインプレ。
パッケージ
パッケージはこんな感じ↓
ボール紙でできたシンプルな箱に入っている。天面に描かれたネズミが小さくてクルクル回るリールを表現しているのだろうか。
箱の下の方にスペック情報が。
日本製、ってのがいいよね。
開封するとこんな感じ↓
中身は本体と説明書。
スペック情報
箱に記載されているスペック情報はこんな感じ。
標準自重 | ギヤ比 | 糸巻量(ナイロン) | 最大ドラグ力 |
175g | 3.4:1 | 6lb. 100yds付き | 1.5kg |
樹脂製なだけに重量が軽いのが魅力的。
一方でギア比は低く、ハンドル1回転あたりの巻取り量は少ない事が予想される。また、最大ドラグ力が1.5kgというのも昨今のリールにしては弱めである。(まあ太い糸を巻かなければいいんだけど)
取扱説明書&展開図
取説はこんな感じ↓
「魚がいるから釣りをしてみよう。」
自然とのふれあいも、釣りも、最初はそれでいいと思います。
エサでもいいじゃありませんか?
遊びは理屈でするものではありません。
簡単で、信用のおけるスピンキャストです。
GOOD LUCK & HAVE A GOOD FISHING DAYS !! ISUZU
この導入部分に作り手の心意気が表れているように思う。
最新のタックルを見ては「やれここの機能が・・・」とか難しく考えてしまう自分がいるが、「遊びは理屈でするものではない」という釣りの原点を思い出させてくれる文章である。
一方、後半にはちゃんと丁寧な説明書きが。
で、展開図はこんな感じ↓
部品点数が少ないのがポイント。
外観など
左から↓
左斜め前から↓
前から↓
右斜め前から↓
右から↓
右斜め後ろから↓
後ろから↓
上から↓
下から↓
今回は青色を購入。表面の大半を占める青色の部品はプラスチックなので、見た感じは凄くおもちゃっぽい。(いい意味で。)
形状はシンプルで不要な凹凸が無く、手に馴染むような形になっている。
操作する部分はハンドルとクラッチボタンとドラグの3つ。ハンドル逆転レバーなどは無し。
重量について
標準自重は175g。実測は・・・
ライン込みで175.9gとほぼカタログ通り。流石日本製というところだろうか。
サイズ感
スピンキャスト80と比較するとこんな感じ↓
サイズ感的には結構近い物があるが、フロントカップ径がピッキーノの方がやや小さく、ボディ後半部分とクラッチの位置がスピンキャスト80より低いので握った感じはピッキーノの方が小さく感じる。
ゼブコのオメガプロと比較するとこんな感じ↓
オメガプロと比較した場合はピッキーノの方が一回り大きい。
3台並べるとこんな感じ↓
ハンドルについて
ハンドルは右ハンドルで、左右入れ替えは不可。
ノブはプラスチック製。今回買ったモデルはノブが交換できないが、できるモデルも存在する。
ハンドル長は約75mm。
やや短めなので高速で回すのに向いている。これでギア比が低い分をある程度カバーできる。
ドラグについて
ドラグを調節する場所が2か所あるのが特徴的。
まずボディ下部にあるのが大まかに調節するためのダイヤル。
で、ボディ上部にあるのが微調整するためのレバー。
説明書によると約20%上のレバーで調節が可能、との事。
ただまあ20%と言われてもよくわからん・・・という事でちょっと量ってみた。
レバーを左側にした状態で200g程度に設定。その後レバーを右いっぱいまで倒したら、600g程度になった。
左を400gに設定した場合は右が1200gくらい。
という事で、大体3倍くらいになるようなイメージだった。
尚、レバー操作に対する調整は結構滑らかで、ドラグの出方もスムーズ。なのでドラグ性能はまあまあと言えそうである。
ロッドに付けてみた
とりあえず鱒レンジャー改CT50に付けてみた。
ボタンの位置が低いので押しやすい。また、ボタンがボディからはみ出さないデザインなので、パーミング時に手の腹でボタンを押してしまう事もない。
ただ、リールフットがぶ厚いのでロッドによっては付かない場合がある。
投げてみた感じ
散歩がてら近所で試投してきた。ロッドは6.5ftのLアクションのベイトフィネスロッド、ラインは6lbナイロンを使用。
ヤバイチュッパミニ(約4g)は快適に投げられた。
ドッグX(約8.5g)は約30m飛んだ。
プチピーナッツDR(4.5g)は約24m。
コサジ(1.8g)は一気に距離が落ちて15mくらいしか飛ばなかったが、これはまあ竿との関係もあるので参考程度に。
結果として飛距離は十分出そうな雰囲気。
一方で巻き心地についてだが、結構軽い力でクルクル回る。ただ、若干カタカタする感じがあるので、クランクなんかを高速で巻くとリール側の振動でちゃんと泳いでるのかがわかりにくくなる。
トップウォーターかワームをメインとして、巻き物はオマケ程度に考えた方がいいと思う。
早巻きする必要が無い止水のエリアフィッシングだったら巻いても良さそうではあるけどね。
分解してみた
フロントカップを外すと自動的にリアカバーも外れる構造になっている。
なので分解はとてもやりやすい。
ローターはこんな感じ↓
ピックアップピンはセラミックっぽいものが1本。ラインを押さえる黒いゴムは結構柔らかめで、軽い力でもラインを保持しやすくなっている。
海外メーカーのものだとフロントカップの表面の仕上げが粗く、磨かないと使えなかったりするが、ピッキーノのローターは結構綺麗だった。
ローターは先端のネジを反時計回りに回すと外す事ができる。
裏から見るとこんな感じ↓
ピックアップピンの土台はデルリン製かな。
スプール側はこんな感じ↓
スプールは樹脂製。直径は約37.5mm。
ギア比から計算すると、ハンドル1回転あたりの巻取り量は約40cmとなる。(スプールいっぱいまでラインを巻いた場合)
1mmくらい空けて巻いたとするとハンドル1回転あたりの巻取り量は約37cm / ハンドル1回転となる。
ちなみにスプールを前後させるオシュレート機能は無し。
スプールを外すとこんな感じ↓
ドラグワッシャーはこんな感じ↓
ギア側はこんな感じ↓
ハンドルとメインギアが片側だけで支えられている。とはいえ構造材はグラスファイバー入りの樹脂なので、それなりに強度はありそう。
ピニオンギアは真鍮製。で、その周りにあるギアが逆転防止用のギア。
逆転ガタはあるが、巻いた時にカリカリ鳴ったりするような事は無い。
ベアリングを追加してみた
パーツリストでいうところの32番、メインシャフトを受ける樹脂製ブッシュはベアリングに変える事ができる。
ブッシュサイズは外径12mm×内径6mm×幅4mm。
ブッシュは凸みたいな形なのでべリングにすると支持する部分の長さが少し短くなってしまうがそこはまあ気にしない。
ベアリングはDDL-1260ZZあたりが良い。
ミニチュアベアリング DDL-1260ZZ NMBステンレス1個
ハンドルを交換してみる
ハンドルは一見ダイワのハンドルと似たような取り付けになっているが、幅が微妙に太いのでダイワ・アブ用ハンドルはそのままでは付かない。
支持部分の幅が5.5mm。
一方、ダイワのベイトリール用ハンドルの穴の幅は5mm。
そこでふと思い出したのがスピンキャスト80のハンドル。これはもともと穴の幅が5.5mmなので、何もしなくても取り付ける事ができる。
シングルハンドルにしてみたい人におススメ。
まとめ
ギア比が低く巻取りが遅い事や巻き心地のカタカタ感といった欠点はあるものの、十分に使えるような印象を受けた。
スピンキャスト80と比較すると剛性感や巻取り量などは劣る代わりに、軽さ、クラッチの押しやすさ、パーミングのしやすさではピッキーノが勝るのでより初心者にも勧めやすいのではないだろうか。
これで釣れたら楽しいだろうな・・・