最近スピンキャストリール使用率が上がってきているのだが、もう一つ完璧なスペックの物がないのが面白い所。
巻取りが遅かったり、巻取りは早いが重量が重かったり、軽くて巻きが早いのを見つけたと思ったらクオリティが低かったり・・・といった状況。
そんな中で、本体重量に目を瞑れば結構イケてるんではないかと思われるのが今回紹介するゼブコ 33プラチナ。
重量こそ9.7oz ≒ 272gと重めだが、フルメタルボディによる高い剛性、ハンドル1回転当たりの巻取り量=約56cm、インスタントアンチリバース搭載、4ベアリング仕様・・・とスピンキャストにしてはハイスペックな仕様となっている。
とりあえず買ってみたのでインプレを。
メーカーHP情報
33® PLATINUM
Our top-of-the-line Zebco 33® spincast. Sturdy all-metal body, 5 bearings, Instant Anti-Reverse clutch and a 4.1:1 gear ratio for smooth, fast retrieves. Fish will practically feel honored to be caught.
Price $39.99 Model# 33KPL Gear Ratio 4.1:1 Product Weight (oz) 9.7 Bearings 4+1 Anti-Reverse Instant Hand Retrieve Right/Left Pre-spooled Lb 10lb Mono Capacity 95/10 IPT (in.) 22 Product Color Silver Features
・ MicroFine™ dial-adjustable drag
・ Brass Pinion Gear
・ Dual Ceramic Pick-up Pins
・ Stainless steel covers
・ All-metal body
・ Anodized Metal Handle
・ Instant Anti-Reverse clutch
・ Changeable right- or left-hand retrieve
・ Quick Change Spool Design
・ 5 Bearings (4 + Clutch)
・ [en-US:Patented no-tangle design, es-US:Diseño patentado sin enredos, fr-CA:Conception anti-emmêlage brevetée]
出典:ゼブコ
定価は$39.99と、ゼブコの中では中堅クラス、といった印象。
日本ではAmazonなんかで6000円程度で売られている事が多いが、今回はクーポンや何やらを駆使して3000円程度で入手することができた。
ギア比が4.1:1とスピンキャストにしては高めであり、大きめのスプールを搭載する事でハンドル1回転あたりの巻取り量を確保しているものと思われる。
その分本体は大きくなるので、パーミング性がどうなるのかも気になるところである。
ラインキャパシティは95ヤード/10lbなのだが、付属の10lbラインは直径約0.3mmと、日本の規格だと3.5号、すなわち14lbに相当する。なので、日本式表示にするなら14lb-85mといったところかと思う。→実際に巻いてみたら3号(12lb)-70mだった。
外観など
パッケージはブリスターパック。開けてみるとこんな感じ。
手に取ってみるとやはりずっしり感がある。ハンドルはさっそく左ハンドルに変えてみた。
右から↓
前から↓
左から↓
後ろから↓
上から↓
下から↓
生産国は中国。
フロントカップとリアカバーはステンレスのヘアーライン仕上げ。その間のボディ部分も金属製なので、かなりの剛性感がある。フロントカップ径はかなり大きいが、限界まで下に位置するようなデザインになっているため、全体の高さはサイズの割に抑えられている。
ハンドルはダブルハンドル。ノブはグリップの良い素材でできていて触り心地も良い。
ハンドル長は90mmと少し長め。3.5号相当のラインが巻いてある事から、結構タフな用途を想定しているんだと思う。
リールフット付け根にはフックキーパーがある。
一方でリールフットが少しぶ厚いので、リールシートが狭めのロッドには入らない可能性がある。
重量について
カタログスペックでは9.7oz。実測は・・・
ライン込みで282.6gとなかなかの重量。
でもまあダブルハンドルに変えたスピンキャスト80の重量も250gちょいなので、30gの差と思えばまあ使えるかな。
サイズ感
スピンキャスト80と比較するとこんな感じ↓
フロントカップの径は33プラチナの方が大きいので、幅方向は33プラチナの方が大きい。
しかし、前後方向の長さはほぼ同じで、高さもほぼ同じに抑えられている上にボタンの位置はスピンキャスト80より低いので、操作のしやすさ的にはスピンキャスト80と同等以上が期待できる。
オメガプロと並べてみるとこんな感じ↓
オメガプロくらいのサイズが個人的には使いやすいので、巻取りの早いオメガプロが出てくれれば最高なのだが・・・
33マイクロと並べてみるとこんな感じ↓
流石にだいぶボリューム感が違う。
Lew’sのスピードキャストと並べるとこんな感じ↓
重量は100g近くスピードキャストの方が軽いが、フロントカップのサイズはほぼ同じ&巻取り量はスピードキャストの方が少し早い。しかしスピードキャストは樹脂部分が多いからか巻き心地などは結構ひどいものなのでその点では比較にならない。
スピードキャストの造りがもう少し良ければという所だが・・・なかなかうまくいかないものである。ま、その辺をアレコレ考えるのもスピンキャストの楽しみではあるけど。
5つ並べてみるとこんな感じ↓
フロントカップを開けてみる
フロントカップは33マイクロと同様に、反時計回りに少し捻ると開ける事ができる。
フロントカップ内側は若干仕上げが甘いので表面がツルっとしていない。磨いた方が良さげ。
という事で、少しピカール的な物で磨いてみた↓
ローターにはラインを押さえる赤い樹脂がついている。これも33マイクロと同じ。
ローターはハンドルを手で固定した状態で半時計回りに回すと外す事ができる。
ローターのフチも金属磨きで磨いておくと良い。
手間はかかるが、このひと手間でより愛着が沸くような気がする。
ピックアップピンについて
ピックアップピンはセラミック製。素材的には33マイクロと同じ。
本数は2本。ピンを支持する樹脂パーツが太くて安心感がある。
ちなみによく見ると、ピックアップピンが開く時に本体側シャフトと接する部分にローラーが付いている。この部分が擦れる時の抵抗がスピンキャストリールの巻き心地の悪さの原因だが、そこを極力無くすように工夫されている。
スプールについて
スプールはオメガプロと同じように、工具レスでワンタッチで外す事ができる。ドラグを締めた状態でスプールを反時計回りに回すと外れる仕組み。その辺の説明がスプールに書いてあるあたりは親切である。
外すとこんな感じ↓スプールを受けている部分もすべて金属製である。
スプール径は樹脂のリングも含めて49.5mm。
ラインの部分は44mm。なので実際のハンドル1回転あたりの糸巻量はカタログ通り約56cmとなる。ちなみにスピンキャスト80はスプール径いっぱいで56cmの計算なので、実質50cmくらいになる。なので33プラチナの方が実用上の巻取り量は多いと言える。
スプール裏にはギザギザがあり、これでドラグ音が鳴る仕組み。
スプール幅は8mm。
後日ラインを巻き替える為にラインを取った状態がコレ↓
ちょっと変わった形をしている。ラインを均一に巻くための工夫であろう。
リアカバーを外してみた
リアカバーの外し方は33マイクロと同じ。クラッチボタンを押した状態でクラッチボタンの上からマイナスドライバーを差し込んで、先端を持ち上げるようにすると開ける事ができる。
リアカバーはボディ上下の爪に引っかかっているような感じで止まっている。
メインギア周りはこんな感じ↓
両サイドにはベアリングが入っている。ピニオンギアは真鍮製で歯も大きくて丈夫そう。
バイトアラートが無い分33マイクロよりすっきりした構造になっていて、グリスアップもしやすい。
展開図
ちなみに内部構造はこんな感じ↓
部品名称入りのpdf版はコチラ→リンク
出典:ゼブコ
部品点数が少な目なのが良い。
ロッドに付けてみる
鱒レンジャーCT50 ARMIYⅡに付けてみた。
多少重いのは仕方ないとして、いざパーミングしてみると、高さが抑えられている事もあって意外と持ちやすい。スピンキャスト80を使える人からすると大差なく使えるのではないだろうか。
ボタンに関して言えばスピンキャスト80より押しやすい。
ちなみに、やはりそのままではファインテールには付かなかった。
軽く投げてみた感じ
1.4gのスモラバ(総重量3.4g)を投げてみた。
5m先に置いた買い物かごにピッチングで容易に放り込むことができた。
じゃあもっと軽いのだとどうか・・・という事で1.4gのスプーンに挑戦。
なんとコレも普通に投げられてしまう。
3.5号相当のラインを巻いてる事を思うと結構凄い事なのではないだろうか。
スモラバやネコリグを使用したカバー打ちに使えそう。
一方で細い糸を巻いたらどうなるのかも気になるところではある。
巻き心地について
4/1ベアリング仕様というだけあって、ベアリングチューンをせずとも快適な巻き心地。
ラインが太くて固いのでシュルシュルと音はするものの、巻取り自体はスムーズ。ハンドル長さが90mmとちょっと長めなのでトルクも十分。
ドラグについて
ドラグダイヤルは本体上部に。
ダイヤルは操作しやすく、調整に対するレスポンスも良い。
ゼブコのドラグは滑らかに効いてくれるので、細めの糸を使う時も安心感がある。
ラインを巻き替えてみた
最初に巻いてあるラインは結構固いので巻き替えてみる事にした。
CN500の3号を巻いてみる。
パッケージには0.3mmが80mとの記載があるので、0.285mmの3号ラインなら90mくらい巻けるのかと思って巻いてみたら・・・
70mで結構いっぱいになった。アメリカンサイズのライン表記はイマイチ良くわからないが、日本のラインの場合は3号70m、と覚えておこう。
続いて2号を巻いた場合。
2号の場合は100mで丁度いい感じ。
多摩川で使ってみた
スモールとナマズ狙いで使ってみた。釣れてはいないが、使用感を簡単にまとめておく。
飛距離について
12lbラインとMアクションの6.5ftのベイトタックルで投げてみた。
OSP ヤマトJr:約40m
トリプルインパクト:約30m
プチピーナッツ:約21m
X-48アクロバット:約15m
やはりヤマトJrのような重めのルアーの最長飛距離ではベイトリールに劣るが、軽量ルアーの投げやすさではスピンキャストの方が有利。
スモラバのピッチングなんかは凄くやりやすい。
欠点としては重いルアーを投げると時々ラインを保持しきれず、キャストの最中にズルっとラインが出てしまう事。
これが発生すると結構ラインに傷が付くので、実用上は1/2oz以下のルアーに限定した方が良さそう。
↓のラインを押さえる赤い樹脂のホールド力を上げたらどうにかなるのかな。
巻き心地
巻き心地はまあまあと言った所。最新のスピニングやベイトと比較するとやや重いが、まあ許容範囲内。
56cm/ハンドル1回転のおかげで、流れのあるところでダウンで巻いてくるのも何とか対応できる。
鯉&マルタを釣ってみた
8lbラインとベイトフィネスロッドとの組み合わせで鯉とマルタを釣ってみた。
やはりドラグ性能が優秀。かなり強烈な引きだったが、ドラグを効かせながらゴリゴリ巻いて来ることができた。
8lbラインにしたら12lbと比較してだいぶ飛距離も伸びた気がする。
渓流で使ってみた
まずは2台ほど追加購入。目的はリールフットを削ってファインテールに乗せるため。
例によって後ろ側だけ削ってみた。
無事ファインテールに付けられるようになったので4lbラインを巻いて秋川へ。
1.4gのスプーンから5gのシンキングミノーまで快適に投げる事ができる。
やはりハンドル1回転あたりの糸巻量がそこそこにあるので、ようやくダウンでのトゥイッチが快適になった。
一つ気づいたのだが、フルキャストする場合はトップスナップキャストが良い感じ。
右手でラインをつまみ、クラッチボタンを左手で押してグリップエンドを左手に持ち、両手投げでタイミング良くつまんだラインを離すという投げ方。
リールが重いのを両手投げでカバーする事でキャストが安定し、精度が出しやすい。
更に投げた後にラインを押さえる事でサミングもできるので、フルキャストしながらも距離も正確に出せる。
33プラチナはライン押さえでラインがつぶれがちな傾向にあるが、トップスナップキャストの場合はラインへのダメージが無いのも良い所。
一方で近距離でのピッチングやフリップキャストの場合には普通にボタンを使って片手で投げれば手返し良く正確に投げられるので、かなり汎用性が高いと言える。
まあ釣果には恵まれなかったが、川幅の狭い渓流での使いやすさはほぼ最強なのではないだろうか。
↓見た目も結構馴染むしね・・・
まとめ
事前の予想通り、本体重量にさえ気にしなければかなり使えそうな印象。
まだバスは釣れてないが、マルタ釣りに使った感じではバス釣りでも全然いけそうな感じ。
一方、ラインを細くすれば渓流でも使いやすいし、コレはかなり当たりだと思う。現行スピンキャストの中では1、2を争うくらい使えるリールと言えよう。