ベイトフィネス専用機といえば結構高価な物が多い。最近では中華メーカー製で安い物もあったりするが、基本的には軽量ルアーへの対応力は価格に大きく左右されるイメージ。
そんな状況の中、シマノから2021年に新たにリリースされたのがSLX BFS。
同社の上位機種で蓄積された技術を搭載しつつも、実売で2万円を切るくらいの価格設定となっている。
これがもし上位機種と遜色ない感じだとしたら、新たにベイトフィネスを始めようとしている人には持って来いなのでは・・・と思う。
ハイギア&ドラグクリッカー付きなので渓流ベイトフィネスにも良さそう、という事でとりあえず買ってみた。
基本情報
まずはメーカーHP情報をおさらい。
ベイトフィネスを身近にするハイコストパフォーマー
SLX BFS
確かな基本性能でシマノベイトリールの中軸を支えるSLXに、待望のベイトフィネスモデルが登場しました。制動セクションはベイトフィネス専用に開発したFTB(フィネスチューンブレーキシステム)。スプールからブレーキユニットをなくすことで軽量化し、軽量ルアーをストレスなくキャストすることができます。その他の仕様もX-SHIP、エキサイティングドラグサウンドなど充実。どなたでもクオリティの高いベイトフィネスゲームをお楽しみいただけます。
※LEFTハンドルは2021年4月、RIGHTハンドルは6月発売予定
技術特性
スペック表
品番 ギア比 最大ドラグ力
(kg)自重
(g)スプール寸法
(径mm/幅mm)フロロ糸巻量
(lb-m)最大巻上長
(cm/ハンドル1回転)ハンドル長
(mm)ベアリング数
BB/ローラー本体価格
(円)商品
コードRIGHT 6.3 3.5 170 32/22 8-45 63 42 5/1 24,000 043689 LEFT 6.3 3.5 170 32/22 8-45 63 42 5/1 24,000 043696 XG RIGHT 8.2 3.5 170 32/22 8-45 82 42 5/1 24,000 043702 XG LEFT 8.2 3.5 170 32/22 8-45 82 42 5/1 24,000 043719 ※XG=エキストラハイギア仕様です。
出典:シマノ
今回は左ハンドル&ハイギアのXG LEFTを購入。
ダイワのベイトフィネス機の場合は上位機種より最高速度を抑える傾向にあるが、SLX BFSは上位機種に劣らない速度設定になっているのが良いと思う。
パッケージ
パッケージはこんな感じ↓
内容物はこんな感じ↓
中身は本体と取説とメンテナンスオイル。
ちなみにアルデバランBFSなんかはマグネットブレーキの増設用磁石が入っていたが、SLX BFSは最初から8個セットされていて、強かったら外してね、という仕様。
外観など
左から↓
左斜め前から↓
前から↓
右斜め前から↓
右から↓
右斜め後ろから↓
後ろから↓
右斜め後ろから↓
上から↓
下から↓
形状はスコーピオンBFSと同じ。(ちなみにスコーピオンBFSはこんな感じ↓)
カラーは従来のSLXシリーズのデザインを踏襲しており、黒っぽいボディに青が所々入るデザインとなっている。
個人的にはサイドプレートのSLXの文字はもう少し控えめな方が良いと思う。
サイズ感
ボリューム的にはアルデバランBFSと似たような感じ。
重量について
本体重量は173.3gとカタログ値よりちょっと重め。
まあこれくらいなら個人的には十分に軽いと思う。
スプールについて
やはり気になるのがスプール重量。
実測で9.2gだった。
17スコーピオンBFSは8.7g。
16アルデバランBFSは7.8g。
上位2モデルと比較すると若干スプールが重い。ブランキングの穴の数が少ないのもあって、若干格差付けされている。
ただまあ単体で見たらシャフト込みで9.2gというのは結構軽いとは思うので、後は投げてみてどうか、という所かと思う。
スプール径は外径で31.8mmくらい。
糸巻面径は26.5mmくらい。
スプール有効幅は21mmくらい。
シャフト周りはこんな感じ↓
FTBについて
FTBは基本的にはマグネットブレーキの一種。調整は外部ダイヤルで実施。
スコーピオンBFSはダイヤルの調整が結構固かったが・・・SLX BFSもしっかり踏襲しているので固い。クリック機能が無く、無段階で変わるのもアルデバラン、スコーピオンと同じ。
ブレーキユニットはこんな感じ↓
最初からNと書いてある磁石が付いている。
ブレーキが強すぎる場合はNの物を外すと弱くできる。
ラインを巻いてみる
とりあえずダイソーナイロン1号を50m巻いてみた。
巻いた状態はこんな感じ↓
軽く投げてみた
まずは廊下で試投。
3.8gの消しゴムは余裕で投げられる。
続いて2.9gの消しゴムを投げてみると・・・
十分に投げられる。が、他のベイトフィネス専用機と比較すると若干出遅れる感がある。
例えばアルデバランBFSと比較すると・・・サイドハンドで投げた場合に若干早めにリリースする感じで投げる必要がある。
やはりスプール重量の差が効いているっぽい。感覚的には16アルファスAIRと近いかな。スコーピオンBFSは既に手放しているので直接の比較はできないが、記憶ベースでは17スコーピオンBFS≒16アルファスエアくらいだったので、多分SLX BFSとスコーピオンBFSはそこまで差は無いような気がする。
その後公園でフルキャストしてみた。
ちょっとブレーキが強めだったので1つマグネットを外した状態で、ブレーキダイヤル2~2.5くらいにしたら2.9gの消しゴムを良い感じで投げられた。
ただやっぱりアルデバランとかと比較すると少し出遅れる感はあるかな。慣れれば問題なく使えるとは思うが、快適に使えそうなのは3g以上~かな、と思う。
ちなみにマグネットはドライバー1本で取れる。(ドライバーを近づけると磁力でくっついて来る。)
ドラグクリッカーについて
細糸を使う時に嬉しいドラグクリッカーが標準装備。音はこんな感じ↓(動画:約9MB)
ラインの出も滑らか。
バス用ルアーを投げてみた
平日の仕事終わりに津久井湖で小一時間程使ってみた。
ラインはナイロン4lbを50m、ロッドはゴーエモーションのベイトフィネスモデル、GEC-652L/BFとの組み合わせ。
まずは総重量3.9gのリグルクローラーのネコリグをキャストしてみた。
コレは普通にキャスト可能。ブレーキ2.5くらいで23mくらい投げる事ができた。
続いて2.5gのスモラバ。総重量は4.5g。
これはもう少し飛んだ。25mくらいかな。
1.4gのジグヘッド+フラッシュJの2インチは総重量で3.8g。
これも飛距離は23mくらい。
続いて2.7gのフローティングミノー、X-48アクロバット。
これはやや飛距離が落ちたが、20mくらいは飛んだかな。
最後に1.5gのフローティングミノーを投げてみた。
これは流石にキャストのタイミングに気を遣う感じだったが、フルキャストで12-13mくらい飛んだ。
これらの結果からすると、バス釣り用として考えたら十分な軽量ルアー対応力だと思う。ネコリグ、スモラバに関してはピッチングでも低弾道で投げられる感じ。
そして後日。8lbを50m程巻いて改めてバス釣りで使ってみた。
津久井湖のおかっぱりで使ってみたが、8lbにしても軽量ルアー対応力は十分。
タイニーピーナッツやハドルミノーハードが快適に投げられる。
で、無時に初バスをゲット。
渓流で使ってみた
渓流ベイトフィネス機として使えるかどうか試してみた。
ロッドはズームサファリのZMSC-464L、ラインはナイロン4lb。
まずは3.5gのDコンパクトから。
マグネットを1個減らして、ダイヤル2くらいでトラブルレスで投げる事が可能。1.5くらいの方がフルキャスト時は気持ちよく投げられるが、少々強めにした方がトラブルが少ない。
3.5gあれば狙った所にキャストできるので、無事にヤマメをキャッチ。
同じく3.5gのAR-Sなんかも投げやすい。
3gジャストのシルバークリークスローフォールカスタムあたりが快適に使える下限くらいなイメージ。
ドラグクリッカーが付いているのでドラグの出具合がわかるのも良い。更にハイギアなのでアップクロスでも流れに負けずにアクションさせる事ができる。
実釣動画
渓流で使った時の様子を動画にまとめてみた。
まとめ
とりあえず軽く触った印象としては、価格に対しては十分な性能だと思う。
上位機種よりは意図的に軽量ルアー対応力を落としている雰囲気はあるものの、単独で見たら全然使えるのではないだろうか。
バス釣りだと2.5gのスモラバでもトレーラー込みだと4gくらいになるし、1.8g/4インチワームのネコリグでも同じくらいかと思うので、このあたりのルアーを扱うのには良さそうな感じ。
ただ、1g台のルアーが投げられる・・・とかを期待して買うのは個人的には難しいかな、と思う。
渓流で使ってみた感じもまずまず。2g台以下のルアーを積極的に使う事がなければ十分な仕上がりだと思う。渓流ベイトを始めてみたい、という場合の初めの一台としてもいいんじゃないかと思う。
シマノ 21 SLX BFS XG LEFT / ベイトリール エキストラハイギア 左巻き