遂にシマノの2020新製品情報が公開されたが、個人的に気になるのはSLX DC。
コンパクトな70サイズのボディにDCブレーキを搭載し、定価ベースで3万円を切るという価格設定。
DCといえば最低限の設定でストレス無くオートマチックにキャストをアシストしてくれるシステムなわけだが、コンパクトでストレスフリー・・・と言うとダイワの20タトゥーラSVTWがライバルになりそうである。
価格も近いので、今回は20SLX DCのスペックを見てみるのと共に、20タトゥーラSVTWと比較したらどうなのかを考えてみようと思う。
メーカーHP情報
イージーなぶっ飛び性能と強力な対バックラッシュ性能を両立。
飛距離の限界を軽々と引き上げる、「新生DC」。シマノブルーがキラリと光るSLXシリーズに、ついにDCモデルが新登場。独自に開発した新DCブレーキ制御により、4段階の容易なセッティングで軽量ミノーやバイブレーション、バズベイト・ビッグベイトまで幅広いルアーに対応。バックラッシュを抑えながら抜群の遠投性能を発揮します。ダイアル3、4は特に守備範囲が広く、ダイアルはそのままでルアーを変えても、ノーサミングノーバックラッシュが可能。簡単操作で優れた対バックラッシュ性能と遠投性能を得られる、新たなDCの誕生です。
※RIGHTモデルは2020年2月、LEFTモデルは4月発売予定
技術特性
“HAGANE”ボディ
“HAGANE”ボディとは、高い剛性を持つ金属のボディ。不意の衝撃にも耐える剛性・耐衝撃性を確保し、たわみを最小限に抑えることでアングラーのチカラを巻き上げる「力」へと変換します。
S3Dスプール
重量バランスや寸法精度を高め、キャスト時における振動を抑制したスプールです。振動ノイズは従来品から半減しました(当社比)。高速回転でラインを放出するなかでもガタつきや回転ムラが極めて少なく、安定したキャスト性能を発揮。飛距離、キャスト精度ともに飛躍的に向上しました。
I-DC4
I-DC4は高度な情報処理能力を持つDCブレーキシステム。キャストした瞬間から着水まで状況の変化を、スプール回転で随時読みとりオートマチックにブレーキ力を微調整。低回転域の変化にもしっかりと追従するので、軽いキャストや近距離戦においても安心感をもたらします。
S A-RB
業界初の「表面改質」により「不動態層」を形成し、錆を寄せつけないベアリングを実現したのがA-RB。さらに、その側面を防錆素材でシーリングし、ベアリング内部での塩分再結晶化による塩ガミを大幅に減少させたのがSA-RBです。
スーパーフリースプール
クラッチを切った際、スプールを支えるのは2つのベアリングのみと、スプールフリー性能を極限にまで軽くしたシステムです。
海水OK
錆を寄せ付けないシマノ独自の高性能ベアリング、S A-RB、A-RBの採用、また外装の防腐処理により、海釣りでも安心してお使い頂けます。末永く快適にご使用いただけるよう、使用後はシャワーでの洗浄をおすすめします
スペック表
品番 ギア比 最大ドラグ力(kg) 自重(g) スプール寸法(径mm/幅mm) ナイロン糸巻量(lb-m) 最大巻上長(cm/ハンドル1回転) ハンドル長(mm) ベアリング数BB/ローラー 本体価格(円) 商品コード 70RIGHT 6.3 5.5 210 34/22 12-100、14-90
16-80、20-6567 42 6/1 27,500 04177 7 71LEFT 6.3 5.5 210 34/22 12-100、14-90
16-80、20-6567 42 6/1 27,500 04178 4 70HGRIGHT 7.2 5.5 210 34/22 12-100、14-90
16-80、20-6577 42 6/1 27,500 04179 1 71HGLEFT 7.2 5.5 210 34/22 12-100、14-90
16-80、20-6577 42 6/1 27,500 04180 7 70XGRIGHT 8.2 5.0 210 34/22 12-100、14-90
16-80、20-6588 45 6/1 27,500 04181 1 71XGLEFT 8.2 5.0 210 34/22 12-100、14-90
16-80、20-656788 45 6/1 27,500 04182 1 出典:シマノ
外観について
外観はSLX MGLとほぼ同じっぽい。ブレーキダイヤル側の写真がないのでそっち側の違いはわからないが、恐らくI-DC4用のダイヤルが付いている物と思われる。
個人的には19SLX MGLのサイドプレートに大きくSLXと入ってるのがあまり好みで無かったが、20SLX DCだとどうなんだろう。
外観については20タトゥーラにも大きい蜘蛛みたいなマークが入ってるので何とも言えないけどね。
ロゴとかはシンプル&控え目な方が個人的には好き。
“HAGANE”ボディについて
メインフレームが金属で出来てる事で剛性を確保する仕組み。やはり長く使おうと思ったら金属フレームの方が安心である。
これについてはタトゥーラも金属フレームなので互角、といった所だろうか。
S3Dスプールについて
これについては比較が難しい技術。
ガタツキとか回転ムラについてはよっぽど安い中華製リールとかならまだしも、シマノ、ダイワのリールで感じた事が無いんだよね・・・・
という事でここは比較ナシ。
I-DC4について
やはりコレが20SLX DCの核心技術であろう。
(名前にもDCって入ってるし。)
I-DC4は08メタニウムMgDCあたりから搭載されていたシステムなので、システムそのものは新しくないのだが、中のソフトウェアの書き換えで何とでもなるのが気になる所。
12lb-100mの70サイズスプールに合わせてチューンされてるハズなので、恐らく軽量ルアーも投げやすくなっている事が期待される。
逆に重いルアーの遠投性能は08メタマグ時代からかなり高かったので、そのあたりを踏襲してるのであれば十分に期待できると思う。
で、20タトゥーラと比較したらどうなのか・・・?を考えてみると、DCブレーキのシステム上スプールに永久磁石を配置しなければならない事から、どうしてもスプール重量についてはタトゥーラの方が軽くなりそうな気がする。
SLXはスプール径が34mm、タトゥーラは32mmというのもあって、スプールの慣性モーメントはSLXの方が大きくなりそう。
よって、軽いルアーの飛距離ではタトゥーラが勝ち、重いルアーの飛距離ではSLXが勝ちそうなイメージだが果たして・・・?
S A-RBと海水OKについて
防錆ベアリングと外装の防腐処理で、海水でも問題なく使用できるようになっている。
タトゥーラも海水対応となっているので何らかの対策はしてるんだと思うのだが、技術的記述が無かったのでその実力は不明。
これも数値化して比較するのは難しいポイントだが、どちらも海水での使用後には水洗いすれば恐らく問題なく使えるものと推測。
スーパーフリースプールについて
回転中のスプールを支えるのは2個のベアリングのみ、という事で、スプールシャフトの慣性モーメントを減らすテクノロジーとなる。
当然非採用機と比較するとスプールの回転性能が良くなるので、飛距離やキャストフィールの向上が期待できる。
ダイワでいう所のスピードシャフトに近いが、タトゥーラSVTWには搭載されてないので、この点についてはSLXの勝ちかな。
とはいえ、結局の所はスプール総重量とスプール径、ブレーキシステムと総合して判断したい所ではある。
スペック一覧より
まずモデルラインナップについてはギア比3種と右巻き、左巻きの計6機種のラインナップとなっている。
スプール径がSLXの方が大きい&わずかにギア比が高いので、ハイギヤモデルの最大巻取量はタトゥーラが81cmに対してSLXが88cmとなる。
なので手返しを重視するならSLX、という見方もできる。
本体重量はSLX DCが210gでタトゥーラが190g。
SLX MGLは190gだったが、やはりDCユニットの重さ分増えた、という事だろうか。
スプール径はSLXが34mmに対しタトゥーラが32mm。
糸巻量は14lbで比較すると90mで同じ量になる。
しかし、タトゥーラは45m~90mといったように、少なめに糸を巻いてフィネス対応力を上げるパターンを想定している点がSLXと異なる。
DCブレーキの場合、スプール容量の95%の糸巻量を想定してブレーキ力が設定されているらしいので、意図的にラインを減らすとブレーキが強めにかかる、という特性があるので、その点は注意が必要かと思う。
ハンドル長がハイギアモデルが45mm、それ以外が42mmになってるのが地味に良い。ハイギアでの巻き重り対策だろうが、こういう細かな配慮がされてるのは良いよね。
一方タトゥーラは85mmで統一されている。
巻き重りがする方が感度が上がる・・・という人もいるので、好みの部分もあるとは思うけどね。
ベアリングはSLXが6/1に対してタトゥーラが7/1なのでタトゥーラが1個多い。まあ一個の違いで劇的に変わるとは思えないが、なんとなく多い方がいい・・・という事でここはタトゥーラの勝ちかな。
価格はSLX DCが27,500円に対してタトゥーラが25,900円。若干タトゥーラの方が安い。
しかし、DC搭載機としては2020現在では最安となるので、これを機にDCデビューする人も多いのではないだろうか。
タトゥーラにあってSLXに無いもの
やはり代表的な機能としてはTWSが挙げられる。
管理人は17タトゥーラからTWSを使っているが、飛距離はともかくとしてトラブルレスにはかなり寄与していると思われる。
シマノもスプールのナロー化やテーパーレベルワインド、ロングノーズ化等で同じような効果を実現している機種もあると思うが、SLXとタトゥーラだとタトゥーラの方がこの点では有利かな。
まとめ
スペックから見ると、ハイコストパフォーマンスでDCを体感できる、更にスコーピオンDC等と比較した場合にはより軽量ルアー寄りの仕上がりになっていそうなので、リリースが楽しみな1台である。
一方で20タトゥーラSVTWと比較すると、スペック上では何となくタトゥーラの方がフィネス対応力がありそうなものの、DCにしか出せないブレーキ特性があると思うので、どっちが良い、というのは使用シーンによる、という所かと思う。
とりあえず今週末のフィッシングショーで触ってみたい。
2020/1/20追記
釣りフェスティバルで触ってきた。
デザインは19SLXとほぼ同じ。コンパクトなボディでパーミングしやすい。
マイクロモジュールギアは入ってないが、巻き心地はなかなか滑らかだった。
ちなみにメインフレームは金属だがサイドプレートは樹脂製とのこと。
気になるブレーキ特性だが、スタッフの方に聞いてみた所、過去のソフトとは全く違う最新のソフトを搭載してるとの事。なので4段階でも十分だそうで。
↑カタログにも書いてあった。
これはやはり買ってみるしかないかな。
2020/2/13追記
とりあえず買ってみた↓