日本最古のリールメーカーにして、今でもコツコツと丸型トラッドリールを作ってくれているのが五十鈴工業。
自社ブランドだけでなく、色々なメーカーとコラボして個性的なリールを作っているのも特徴で、個人的にはTU-01やピッキーノでお世話になっている。
そんな五十鈴から2021年にリリースされたのが今回紹介するBC521SSS VINTAGE。
クラシックな見た目でありながらもトラッドリールの中ではハイギアな6.1:1のギアを搭載。標準自重は240gとまあまあの軽さで、右投げの人には嬉しい左ハンドルモデル・・・という事で、渓流ベイトフィネスに良さげな仕様となっている。
お陰でかなりの人気があり、発売直後に即完売といった状況。
自分もネットでの争奪戦には破れ、店舗で予約するも希望カラーが入荷せず・・・といった状況だったので諦めかけていたのだが、たまたま近所の釣具屋さんに1個だけ残っているのを発見したので購入する事にした。
という事で、まずは開封インプレからいってみよう。
パッケージ
箱はこんな感じ↓
金額からすると箱がショボい・・・と思う人もいるかもだが、大事なのは箱より中身。
内容物はリール本体、取説、ブレーキブロック、オイルといった内容。
展開図はこんな感じ↓
ちなみに生産国は安心の日本製。
外観など
今回は赤金を購入。
左から↓
左斜め前から↓
前から↓
右斜め前から↓
右から↓
右斜め後ろから↓
後ろから↓
左斜め後ろから↓
上から↓
下から↓
左右非対称なデザインが特徴的。ハンドル側はドライブギアを格納する為か卵型になっており、反対側は真円となっている。
雰囲気、構造的にはアブのアンバサダーに近い。
パーミングカップ側とクラッチボタンには五十鈴のエンブレムが刻印されている。
サイズ感
ボリューム的にはアンバサダー1500Cに近い。(比較してるのは150plusだが、大きさは1500Cと同じ。)
ミリオネアCTとも近い感じ。
重量について
重量は実測で236.4gとなかなかの軽さ。(トラッドリールの中では)
アンバサダー1500Cが実測で251.1gだったので、この辺のリールに慣れている人なら問題ないだろう。
スプールについて
純正スプールはこんな感じ↓
スプール重量は24.1gとかなりの重さ。
外径は一番太い部分で34.5mm。少しテーパーが付いてるので、糸を巻く部分は34mmくらいかな。
糸巻面径は18mm。
糸巻面の幅は22mm。
ハンドルについて
ハンドルは少しS字がかったショートハンドル。
ハンドル長は軸間で65mm。巻取り速度は速めとはいえ昨今のリールと比較すると遅いので、これくらい短い方がテンポ良く巻き取る事ができると思う。
ハンドルノブはアルマイト製・・・かな?硬いので感度は良いと思う。
ドラグについて
ドラグはゴールドが目を引くスタードラグ。
ドラグ調整時のクリック音、ラインが出る時のクリック音は共に無し。
トライアングル版のモデルにはクリック音が付いてるようなので、その点はうらやましい。
ラインを巻いてみる
とりあえず純正スプールに4lbを50m巻いてみるとこんな感じ↓
糸巻き面径がかなり小さいのでこれでは厳しそう。
なので12lbラインをいっぱいまで巻いてみた。
120mで満杯、といった感じ。
軽く投げてみた感じ
とりあえず1号ラインを50m巻いた状態で投げてみると・・・全然投げられる気がしない。
遠心ブレーキは付けてないのだが、ラインが少ないのでスプールが細い→必要以上にスプールが回る→レベルワインダーの抵抗が大きくなる、といった構図。
続いて3号ラインを120m巻いた状態でのテスト。
激重スプールにたっぷりのラインのお陰でこれはこれで軽量ルアーには向かない。Youtubeの動画で純正スプールは3gくらいから・・・みたいな説明があったが、多分コレで3gを投げようとおもったらかなり熟練の技が必要だと思われる。
凄く気を使って投げられるのが5g以上、快適に投げられるのは7g以上・・・といった感じかな。
渓流で使うにはマイクロキャストスプールが必須かと思われる。
マイクロキャストスプールとの組み合わせ
軽量ルアーを投げる為にマイクロキャストスプールを購入。BC520X用のBC5224TRが適合する。
本体に取り付けるとこんな感じ↓
純正スプールは黒だったのでマイクロキャストスプールも黒にしたが、見た目的にはバッチリ合う。
スプール重量は半分以下。4lbライン45mを含めても11.8g。
2.9gの消しゴムを投げてみると・・・フリップキャストでもちゃんと投げる事ができた。
ただ、スプール径が34mmと大きいので立ち上がりがやや遅い。φ30のミリオネアCTやアンバサダー1500C、φ28のアルファスエアTWあたりと比較すると早めにリリースする感じで投げる必要がある。
渓流で使ってみた
マイクロキャストスプールに4lbラインを45m巻いた状態で渓流デビュー。ロッドはシルバークリークグラスプログレッシブ46ULB-Gとの組み合わせ。
キャストしてみた感じ
3g以上のルアーについてはブレーキブロック1個ON、メカニカルはユルユルの設定で気持ちよく投げる事ができた。
3.5gのシンキングミノー(Dコンパクト)、3gのスプーン(ドロップダイヤ)、3.5gのスピナー(AR-S)あたりは飛距離にして軽く20m以上飛んだので、この辺を使うには十分な軽量ルアー対応力。
これより空気抵抗が大きい&軽いルアーを投げる場合は少しずつメカニカルを締めて行くと良い感じ。
2.1gのAR-Sとか、1.8gのドロップダイヤも少しメカニカルを調整すれば扱う事ができる。飛距離はやや落ちるが、15~16mくらいは飛ばせるのでまあ実用範囲内、といった所。
やはりスプール径が小さいリールと比較すると出だしの遅れが気にはなるが、慣れれば使えるかな、といった感じ。
巻取りについて
糸巻面径は31mmだったので、実巻取り速度は最大で59.4cm程度。
流れの速い所でのアップクロスではやや不安な速度だが、ハンドルが短いので速めにハンドルを回すように気を付ければなんとか対応は可能かな・・・と思う。
巻取りはかなり滑らかで軽快。この点については加工精度が良い事から来ているのではと思う。
魚とのやりとり
この日は放流日だったので無事にヤマメをキャッチ。
巻取りトルクはバッチリなのでこれくらいの魚なら余裕でゴリゴリ寄せる事ができる。ドラグは効かせるまでもない感じだったので、もっと大きい魚が釣れた時に確認したい。
アンチリバースがインスタントじゃない点が気になるかな・・・と思ったが、実際に使ってみると渓流では基本的にハンドルから手を離す事がないので殆ど気になる事はない。
その他
加工精度が高いリールであるとはいえ、4lbラインでバックラッシュさせるとスプールとボディの隙間に噛み込むので注意。ただ、スプール両サイドに少し幅があるので、アンバサダーやミリオネアCT等と比較すると噛み込みにくいようにはなっている。
あと、遠心ブレーキのリールなのでキャスト後半の伸びが良い反面、強風とかのイレギュラーには弱い印象。メカニカルを締めれば対応は可能だが、巻き感が落ちるので調整という観点ではマグの方がいいかな。(遠心を増やすにはサイドプレートを開ける必要があるのでちょっとめんどくさい)
まとめ
まず見た目については唯一無二なデザインで文句なし。赤金はちょっと成金っぽいかな・・・と思ったが、意外と実物は落ち着いており、渓流の雰囲気にもよく合う。
機能的には特筆する部分は無いが、マイクロキャストスプールを使えば最近のリールとそこそこ渡り合える程度にはなる。あくまでそこそこ、なので最新の機能を期待する人にはおススメできないかもしれない。
・・・というと大した事がないように聞こえるが、そこそこに使える、というのは何気に凄い事。
このクラシックな見た目で普通に使えて、現行で手に入って、左ハンドルモデルで・・・という所に大きな価値があるのではないかと思う。
現行とはいえ入手困難な所は残念な点ではあるが、みんなが買えばメーカーが潤って生産体制も増強できる・・・といった流れになるかと思うので、今後の発展に期待したい。
ちなみにマイクロキャストスプールはコチラ↓